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こんな働き方があったのか…専門性と経験を活かしプライドも捨てずに働ける「定年後の新たな選択肢」とは

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月3日 7時0分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

定年後の働き方の選択肢は限られています。企業の取締役など「組織で位を極めた人」であれば、取引先企業に厚遇で迎え入れられたり、業界団体の公職に就くなど、引く手数多(あまた)かもしれません。ただ、そういう人はごく少数です。では、普通の人には長年働いてきたプライドを保てるような働き方はないのでしょうか。「社外顧問=定年顧問)」は、その1つ。本記事では『楽しさと生きがいを手に入れる 定年顧問』(自由国民社)から、著者の岩﨑 和郎氏が、その知られざる世界をご紹介します。

定年前後は、これからの人生や仕事について誰もが悩む時期

50代も後半になると定年後のことについて誰もが悩む悩む時期になります。定年後に再就職するのか、再雇用に応じるのか、あるいは就職することなく豊かな老後を味わうか、あるいは起業するのか。多くの方は真剣に、あるいはなんとなく思い悩んでおられると思います。

住宅ローンの残りがあとどれぐらいか、退職金はどれぐらい出るのか、再雇用の条件はどうなっているのだろうか。未知の領域であるだけに、さまざまな不安もあるでしょう。

このように思い悩んではいるものの誰に相談していいかわからない。会社に聞けばいいのかもしれませんが、転職でもする気なのかとか、早期退職するのではないかなどと、変に勘ぐられたくはありません。相談したくてもどこに相談すればいいのかわからない、というのが現状ではないでしょうか。

しかし、実際のところ現実的に選択できるのは次の5つしかありません。

①再雇用に応じる ②転職する ③人材派遣会社に登録して嘱託として働く ④パートやアルバイトで働く ⑤起業する

いずれを選択するべきか。一番手っ取り早いのは、同じ会社で再雇用に応じた人の話を聞くことです。再雇用以外のことを考えている人は、再就職した人や、起業した人など、それらの別の道を選んだ人に聞くことになります。とはいえ、いくら人に聞いてみたとしても、各人それぞれの事情がありますので、自分に置き換えた場合、どれがいいのかという判断がつかないはず。

このように思い悩んでいる状況で大切なことは、「自分自身の今までの人生」を、ここでもう一度振り返ってみることです。振り返ってみて、自分自身の「棚卸し」をすることです。

人生で楽しかったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、興奮したこと、そのような出来事を振り返り、一つひとつについて再度考えてみましょう。そうすると、今後の人生についての道筋が見えてくるかもしれません。一つひとつの悩みをどうやって解決し、今後どのようにしていきたいのか。あなた自身がやりたいことを見極めて、その道を進んでいくという姿勢が必要です。

定年後は、基本的にはやりたいことだけをやっていけばいいのです。定年後の働き方について現実を知る必要はありますが、やりたくないことをあえてやる必要はありません。

定年後の働き方には「第6の選択肢」がある

定年後多くの方が選択される「再雇用」の実態に関しては、最近大手新聞の投書欄に次のような投書がありました。

「地方公務員の方で、再任用職員の初めてのボーナスが1か月分だったそうです。毎月の給料は7割になったとのこと。年齢を1つ重ねただけで、働いた分の正当な対価が与えられなくなるのは問題とのことでした。」

地方公務員でさえこの現状か、と思いました。民間会社は毎月の給料は、よくて5割、ボーナスをもらえる人は、ほとんどいません。「再雇用」を選んだおよそ8割が給与に不満を抱いていることが最近の統計で明らかになりました。最も一般的で、選択する人が多かった再雇用も、なかなかシビアであることがおわかりいただけたでしょうか。

前に挙げた5つの選択肢のうち、「②転職する」も定年後にはなかなか難しそうであることは、多言を要さないでしょう。よほど高いスキルを持っている、というようなことがない限り、転職先は多くはないでしょうし、待遇もそれほど期待できないと思います。

「パートやアルバイトとして働く」「人材派遣会社に登録する」の2つは、収入面で多くを望むことはできません。「起業」して成功することがたやすいことではないことも、説明するまでもないでしょう。

しかし、ここに第6の選択肢があります。それが「社外顧問」です。

顧問という仕事は「雲の上の存在」ではない

私は、今現在、顧問として働いています。ここで、私自身の紹介を兼ねて、顧問としてどのような働き方をしているかをご説明したいと思います。私は工学系大学院で無機工業化学を学び、大手セメント会社に入社しました。

セメントの品質管理とセラミックスの開発研究に携わったのち、この専門性を活かして転職をし、鉱業系の会社を定年退職するまでに4社の社歴がありました。社会人としてのキャリアを通じて、セメントに関する技術職として働いたことになります。

そして、今現在は、建築・土木構造物の検査・調査を行う会社で、技術顧問として働いています。当初、研究開発本部長のポストを打診されたのですが、他社で顧問業務を行っていたため、常勤ではなく、顧問として採用されることになりました。

この会社で顧問を始めたのは2022年6月から。現在は、毎週月曜日の1時から2時半まで出勤しています。私の役割は、技術的なアドバイスをすることです。少し専門的な話になりますが、この会社ではコンクリートの中性化を非破壊で測る技術を開発することを長年の懸案にしていました。

それが可能になれば、事業領域が広がることになります。しかし、その分野での知識やノウハウはあまりありません。そこで、私の持つ知識と、長年の経験が求められたわけです。

最初の2〜3ヶ月は基本をチームのメンバーにレクチャーすることが中心でした。話を進める中で、中性化とは少し違いますが、ある研究機関で塩化物イオンを測定する方法を開発しており、それを応用して中性化も測定できるのではないか、というアイデアが出てきました。

そこで、その研究所と共同研究をしてはどうか、と私が提案をして、それが実際に進み始めたという段階まできました。このように説明すると、私が過去の蓄積である知識を提供しているように思われるかもしれませんが、決してそうではありません。

技術は常に進歩していますから、週1回のミーティングでは、最新の測定法にはどのようなものがあるか、ゼネコンではどのような検査を取り入れているか、関連学会ではどんな論文が発表されているかなど、最新の情報を私の方で収集して、共有したりもしています。

つまり、インプットが欠かせない、ということです。出勤するのは週1回、1時間半だけですが、そのための下調べなどに半日から1日はかけています。関係書籍や資料が揃っている国会図書館は、頻繁に利用しています。

いかがでしょうか。「顧問」という仕事のイメージが、少しでも伝わったでしょうか。顧問というのは、手の届かない雲の上の人にしかなれないもの、具体的には、士業と呼ばれる人や、会社の役職経験者が離職後に勤めるもの、というイメージがあるかもしれません。

しかし決してそれだけではなく、私のように専門性と経験を活かして事業に貢献する役割もあるのです。私がお伝えしたいのは、こうした社外顧問です。名誉職ではなく、実務についてアドバイスする技能職といえるでしょう。

そして、経験と知識、人脈のある定年世代であれば、専門性と経験を活かして働けるので、私は「定年顧問」と呼んでいます。定年後には第6の選択肢として、この「定年顧問(=社外顧問)」の道があることを知っておいてほしいと思います。

岩﨑 和郎

アドバイザー・技術顧問

※本記事は『楽しさと生きがいを手に入れる 定年顧問』(自由国民社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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