ゴクゴク飲むなら「ラガー」がぴったり!ビール店社長が教える「ビールの種類・スタイル」【チャート付き】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月9日 18時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
ビールをもっと楽しむには、さまざまなスタイルの中から自分の好きな味と香り、その日の気分に合わせて選ぶのがおすすめです。本稿では、藤沼正俊氏の著書『パーフェクトビアの社長が教える ビールを最高においしく飲むためのルール』(春陽堂書店)より一部を抜粋し、ビールの種類とスタイルを紹介します。
実は「ビールの種類」はたったの2つしかない
ご存じのとおりビールは、世界中で親しまれている飲み物です。
キリンホールディングスが行った調査によると、2022年時点において、世界のビール消費量が21年比2.9%増の約1億9210万キロリットルになったとのこと。これは、東京ドーム約155杯分に相当するそうです。
では、どこの国がもっともビールを消費しているのでしょうか。
同調査によると1位は中国で、中国が1位を記録するのは20年連続です。やはり人口が多い分、それだけビールを大量に消費しているということでしょうか。
続いて2位につけたのはアメリカ。たしかに、「バドワイザー」や「IPA」など、日本でもよく知られているビールがアメリカ産のものですよね。
3位以降については、順にブラジル、メキシコ、ロシア、ドイツ、ベトナム、イギリス、スペイン、そして10位に日本となります。意外なのはドイツで、“ビール大国”というイメージがあるものの、6位止まりとなっています。
ただ、「1人当たりの消費量」となるとまた話が違ってきます。
ビールの1人当たり消費量のトップは、30年連続という長きにわたってトップに君臨するチェコ。大瓶(633ミリリットル換算)297.7本分を消費しているそうです。日本は大瓶54本分なので、その差は5倍以上にもなります。
続いて、2位にはオーストリア、3位はポーランドとなり、やはり欧州でビールがたくさん飲まれているようですね。ドイツは7位につけていました。ちなみに日本は56位です。
ビールがよく飲まれている国の特徴として、「水よりも価格が安い」ということが挙げられます。ドイツをはじめベルギーやルクセンブルクなどで、水よりも安く売られているようです。日本ではちょっと考えられませんね。
では、世界中のビールにはどのくらいの“種類”があるかわかりますか?
「数えきれないくらいあるのでは」という人もいると思いますが、実は、ビールの種類は大きく分けると「ラガー」と「エール」の2つしかありません。
それ以外の「ピルスナー」「ヴァイツェン」「ペールエール」などの分類は、厳密には「ビールの種類」ではなく、風味や香りの違いで“スタイル”と呼ばれるものです。このスタイルは、150以上あるといわれています。
つまり、たった2種類しかないビールから、味や香りや色が変化して150以上もの豊富なスタイルが生まれたのです。
国産ビールの9割以上は「ラガー」 ゴクゴク飲むのに最適
ちなみに、ラガーとエールで何が違うかといえば、発酵の仕方にあります。ラガーは「下面発酵」、エールは「上面発酵」で生まれるビールです。
ラガーの特徴はキレがよく、すっきりとしたのどごし。代表するビアスタイルはピルスナーで、日本でつくられているビールの9割以上がラガーです。
それに対してエールは味わいが深く、フルーティーで豊かな香りが特徴です。ラガーはゴクゴク飲むのに最適で、エールはじっくりと楽しむビールといってもよいでしょう。
このように、さまざまなスタイルの中から自分の好きな味と香り、その日の気分に合わせたビール選びをするのがおすすめです。
基本のビアスタイルは6つ
ここでは、主要なビアスタイルについて見ていきましょう。主に、次のようなものがあります。
①ピルスナー〈ラガー〉
ラガーの代表ともいえるピルスナーはチェコで生まれたビアスタイルです。黄金色の見た目は、多くの人にとってなじみがあることでしょう。ホップの香りとほどよい苦味がある定番のスタイルであることに加え、「爽快なのどごし」というビールの特徴を印象づける役割も果たしています。
②シュヴァルツ〈ラガー〉
南ドイツ発祥のラガーに「シュヴァルツ」があります。ドイツ語で「黒」を意味するビアテイストで、市販されている「黒ビール」などはこのシュヴァルツであることが多いです。
③デュンケル〈ラガー〉
同じく南ドイツ発祥のラガーに「デュンケル」があります。シュヴァルツほどは暗くなく、やや明るい色みが特徴です。味は濃厚で、甘さと香ばしさがほのかに残るビアスタイルです。
④ペールエール〈エール〉
いわゆる「クラフトビール」のうち、もっともポピュラーなものの一つが「ペールエール」です。発祥はイギリスですが、主流となるのはアメリカのもので、果実感のある香りが特徴です。オレンジやレモン、グレープフルーツをはじめとする柑橘系の香りがエールならではのうまみをもたらしてくれます。
⑤IPA(インディア・ペールエール)〈エール〉
ペールエールとともに人気があるのが「IPA」です。「インディア」という名前のとおり、インドへ輸送する際に防腐効果を高めるべく、アルコール度数を高めた結果生まれたビアテイストとされています。フルーティーな香りがあるのはペールエールと同じですが、好みに応じてさまざまなバリエーションを楽しめるのが特徴です。
⑥スタウト(黒ビール)〈エール〉
「ギネスビール」をはじめとした、いわゆる“黒ビール”の主流が「スタウト」です。飲み口はドライなのですが、泡は非常にきめが細かく、そのコントラストを楽しむことができます。また、焙煎(ばいせん)による独特な風味もスタウトならではのよさの一つで、コーヒーやチョコレートが好きな人にもおすすめです。
6つのビアスタイルの味わいをチャートにしてみました(図表2)。縦軸が「苦さ」で上にいくほど苦味が強くなります。横軸は「濃さ」です。「飲みやすさ」は左にいくほど軽く、右にいくほど重くなります。
藤沼 正俊 株式会社PERFECT BEER代表取締役 キリンビールマーケティング株式会社(現・キリンビール株式会社)に勤務後、クラウドファンディングで資金を募り独立起業。2021年にビール専門店「PERFECT BEER GARDEN TOKYO」を東京の門前仲町にオープン。現在は直営店4店舗、フランチャイズ店11店舗まで事業を拡大させている(2024年3月現在)。
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