夫婦で年金暮らし→月5万5,000円の赤字…95歳まで生きるために必要な「貯金額」【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月14日 11時45分
(※写真はイメージです/PIXTA)
増えない給与、減っていく年金、延び続ける寿命……こうしたなか、老後に「なんの不安もない」という人はごく少数でしょう。この不安を少しでも軽減するためにはまず、「長生きしても尽きない貯金額」の目安を知ることが肝心だと、『死に方のダンドリ』(ポプラ新書)著者の坂本綾子氏はいいます。詳しくみていきましょう。
「老後2,000万円問題」とは結局何だったのか
2019年、「老後2,000万円問題」が話題になりました。65歳以降、30年間生きていくためには約2,000万円のお金が必要と金融庁が発表したことに端を発し、さまざまな議論が湧き起こったのを覚えている方も多いと思います。
ニュース番組では連日のようにこの問題が取り上げられ、「毎日の生活で苦しいのに2,000万円も貯めるなんて無理!」「今さらどうしろというのか?」と反発する街の人の声も紹介されていました。あなたもこのニュースを見て、不安を感じていたかもしれません。
老後資金2,000万円が妥当なのかどうか。それを考えるにはそもそも、この2,000万円という金額がどのようにして導き出されたものだったのかを知る必要があります。
2,000万円は、現在、年金生活を送っている高齢者が平均してどのくらい生活費が足りていないかをもとに算出した金額です。その根拠となったのは全国規模の家計調査です。
その調査によると、夫婦合計の公的年金では、毎月5万5,000円不足しているというデータがあります。毎月5万5,000円不足ということは年間で66万円の不足。それが65歳から95歳まで30年間続けば66万円╳30年=1,980万円。つまり約2,000万円の不足というわけです。
この調査は毎年行われており、毎年不足額は変動します。不足額が変動すれば、30年間の老後の不足額も変わってきます。たとえば、不足額が毎月3万円なら年間36万円の不足で、30年間では1,080万円の不足ということになります。
ただ、仮に貯蓄額が2,000万円に満たない場合、絶対に生活が苦しくなるというわけではありません。貯金を下ろして生活費に充てるのを選ぶ人もいれば、節約によって家計をやりくりする人もいるでしょう。「絶対に2,000万円なければいけない」わけではないのです。
そのため、老後にいくら貯めておけばいいかは人によって違います。老後どんなふうに生活したいのか、そのイメージと金額を具体的に考えて、自分にとって必要な金額を決めて貯金をすることが重要です。
貯金の額を決めるのなら、公的年金の金額についてもぜひ知っておいてください。
あなたはいくら年金をもらえる?
もらえる年金の額(2023年4月時点)
・国民年金保険の加入者だった人……加入期間に応じた金額。20歳から60歳までの全期間(480月)保険料を納めた場合は年間約79万5,000円(1カ月あたり約6万6,000円)
・厚生年金保険の加入者だった人……加入期間に応じた基礎年金(国民年金部分)と、加入期間と現役時代の給与やボーナス額に応じた厚生年金。たとえば、年収240万円で40年間厚生年金に加入した場合、合計で年間約132万1,000円(1カ月あたり約11万円)
・転職などで国民年金保険加入期間と厚生年金保険加入期間の両方がある人……合計した加入期間の国民年金と、厚生年金保険加入期間の厚生年金を合わせてもらうことができる
このもらえる年金の額は毎年改定されます。物価の上下によって年金も上がったり下がったりすることがあるのです。
ただし、物価と連動して年金の額が毎年必ず変わるわけではありません。そのため、今の時点で20年後、30年後の公的年金の金額を予想するのは難しいのですが、現在の年金額を目安に貯蓄額を目安として考えることはできると思います。
老後資金としていくら貯めるかを考えるときに覚えておいてほしいことがもうひとつあります。それは、公的年金が今より「減る」可能性が高いということです。
日本の公的年金制度は「世代間仕送り方式」です。現役世代が払う保険料で、高齢者の年金を給付しています。そのため、子どもの数が減れば、のちに大人になって保険料を払う現役世代の数も減ります。
高齢者はどんどん増えていくのに、現役世代の数は減っていく。そうなると年金額が減るという困った状況が生まれることがほぼ確実となっています。
もちろん、国も保険料の一部を運用して年金の原資を増やすなど、いろいろな対策を打って年金額の減少に歯止めをかけようとしています。それでも対策が追いつかず、将来、年金はもらえるけれども年金制度を維持するために年金の水準が今の高齢者よりも下がる可能性があります。
このことも頭に入れて、100歳まで生きるためのお金を貯めるにはどうすればいいかを考えていきましょう。
坂本 綾子 ファイナンシャルプランナー
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