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1,000万円をわずか数日で溶かし、マンションも失った会社員の悲鳴…FXで泥沼にハマらないための「6つの注意点」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月4日 7時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

「FX」ではレバレッジをかけることでより大きな利益を狙うことができますが、逆に大きな損失を被る可能性もあります。損失をなるべく出さないようにするには、どうすればよいのでしょうか。本記事では、規制が緩かった2008年ごろにリーマンショックに巻き込まれ、FXで取り返しのつかない損失を出してしまった山上さん(仮名)の事例から、FXで「泥沼」にハマらないために心がけるべき「6つの注意点」をご紹介します。

大儲けを狙ってFXで勝負をかけるも…

山上重朗さんは64歳、定年を迎えて現在は大手メーカーの嘱託営業として働いています。結婚してもうすぐ40年ですが、子供はいません。子育て費用がかからなかった分、貯蓄をしやすい環境のはずが、老後の生活に不安を抱えているそうです。

実は山上さん、リーマンショックが起こった2008年ごろ、軽い気持ちで始めたFXで、取り返しの付かない大損失を出していました。わずか数日で1,000万円以上を溶かしてしまい、買い換えたばかりのマンションも手放していたのです。

当時のFXは規制が緩く、何百倍ものレバレッジをかけることができました。山上さんは、短期間で大儲けできる可能性のあるFXに、強い魅力を感じたといいます。

試しに100万円で始めてみると、何となく持ったポジションが大当たりして、わずか1週間で2倍に。これで自信を持った山上さんは、ほかの投資や貯蓄を取り崩して1,000万円以上をかき集め、FXに本格的に取り組み始めました。

大きな資金でトレードをするようになってからは、一度のトレードで100万円を超える利益が出ることも少なくなかったとのこと。一時的に資産が大きく増えたタイミングもあったそうですが、好調が長続きすることはなく、すぐにプラスは損失で消えていたそうです。

そしてFXを始めてから数ヵ月が経ったある日、「東京市場は穏やかなのに、欧州や米国の市場が開くと一気に円高に動く(山上さん談)」という流れに巻き込まれ、200万円の含み損を抱えることになってしまいます。流れが悪いとは思いつつもナンピン(ポジションの追加)をしますが、その後も円高は止まりません。

ナンピンによりレバレッジがさらに高まったことで、損失は驚くスピードで急拡大。わずか数日のうちに、投入資金のほとんどが吹き飛んでしまいました。

住宅ローンを抱えるなかで全財産を失ってしまった山上さんは、マンションを手放さざるを得ませんでした。FXで大金持ちになるという夢が叶わなかったどころか、生活レベルを大きく落とすことになってしまったのです。

自分の力量を超えた取引が命取りに

山上さんがFXで大失敗をしてしまった最大の原因は、自分の資金量やスキルに見合わない取引を行っていたことにあります。FXを始めたばかりなのにも関わらず、ほとんどの資産をFXに集中させたうえに、資金に対して出入りの大きすぎる取引をしていたのです。

また、山上さんはFX開始当初に資金を2倍にできたこともあり、「勢いだけでトレードしていた」とも語っています。世界中の投資家が参加する為替市場において、山勘頼りの無計画・ノーロジックの取引では、遅かれ早かれ資金を失うことになっていたはずです。

当時はまだFXに対する規制が緩かったことも大きかったでしょう。極端に高いレバレッジによって、山上さんの損失は大きく拡大したと考えられます。こういったケースが増えたことで金融庁は規制強化を行い、現在の国内FXのレバレッジ上限は25倍に制限されることになりました。

なお、金融庁の規制が届かない海外業者が提供するFXの場合、現在でも極端なレバレッジをかけた取引ができてしまいます。レバレッジに比例してリスクが拡大することを理解して、FX業者は慎重に選ぶことが大切です。

国内FXの規制の歴史と安全性

ここで、国内の個人向けFXにおいて、投資家保護のために行われた主要な規制を紹介します。

【国内FXにおける主な規制】

・2010年2月 信託保全・ロスカット制度の義務化

・2010年8月 レバレッジ規制(上限50倍)

・2011年8月 レバレッジ規制(上限25倍)

(参考)金融先物取引業協会「FX取引の規制について」

2007年以降の相場混乱のなかで複数のFX業者が破綻しましたが、その際にトレーダーの資金が返還されないケースがありました。また、ロスカット(トレーダーの損失拡大時にFX業者が強制的に損失を確定させること)が機能せずにトレーダーの損失が極端に膨らむケースも見られました。これらを受けて2010年2月に、信託保全とロスカット制度が義務化されています。

リーマンショックでは、山上さんのように大きな損失を出して生活が苦しくなった人もいたはずです。この背景には、トレーダーのハイレバレッジ志向があったと考えられます。これに対応して金融庁は、レバレッジの上限を2010年8月以降は50倍、2011年8月以降は25倍と、規制を導入しました。これらの規制により、当時と比べて現在の国内FXはリスクが大きく抑えられたといえるでしょう。

規制というとネガティブな印象を持つかもしれませんが、規制によってトレーダーが守られていることも正しく頭に入れておきましょう。

FXで泥沼にハマらないための6つの注意点

本記事では、リーマンショックで急激な円高が進行するなかで、マンションを手放すことになってしまったエピソードを紹介しました。最後に、このエピソードから私たちが学ぶことができる、FXで泥沼にハマらないための注意点を6つ紹介します。

余裕資金でトレードする

投資にはリスクが伴うため、資金が目減りしてしまう可能性があります。そのため、投資は仮に失っても生活に影響を受けることのない余裕資金で行うのが基本です。気持ちにもゆとりができるので、投資判断も冷静に行いやすくなるでしょう。

自分の資金量やスキルに見合った取引量にする

取引量を大きくすればするほど、得られる利益が大きくなりますが、失敗したときの損失も大きくなります。大きな利益を狙ってやみくもに取引量を増やすのは、ギャンブルのようなもの。自分のスキルと資金量を踏まえて、無理のない取引量を選ぶことが大切です。

損失のコントロールを意識する

FXで大きな失敗をしないためには、利益をあげること以上に損失をコントロールすることが大切です。もし自分の思惑と外れた場合にいくら損失が出るのか、明確に意識するようにしてください。受け入れられない損失が出る可能性のある取引は、はじめから行うべきではありません。

感情に任せたナンピンは厳禁

ナンピンはポジションの平均取得価格が改善されると同時に、レバレッジが上昇してリスクが拡大する側面があります。計画的に行うナンピンは問題ありませんが、相場逆行時になんとか助かろうと感情的に行うナンピンは非常に危険。ときには潔く損失を確定させることも大切です。

ショック相場を体験しておく

「●●ショック」と呼ばれるようなショック相場は定期的に発生しており、今後もいずれ発生するはずです。ショック相場では、普段の相場からは想像できないような激しい相場になります。いざというときにも冷静に対処できるように、過去チャートや練習アプリなどであらかじめショック相場を体験しておくとよいかもしれません。

金融庁未登録の海外FX業者は利用しない

金融庁未登録の海外FX業者は国内の規制が届かないため、昔のような超ハイレバレッジをかけた取引も可能です。しかし、それは投入した資金を大きなリスクに晒すことになるうえに、仮に利益が出ても出金拒否といったトラブルに巻き込まれる可能性もあります。自分の大切な資金を預けるのですから、安全で信頼できる業者を選ぶようにしましょう。

以上の6つの注意点を意識することで、山上さんのような失敗を避け、FXを有効に活用できるはずです。初心者の方は特に、慎重に取り組むことをおすすめします。

FXは、正しい知識とリスク管理を行えば、有効な投資手段となり得ます。しかし、一方で大きなリスクを伴うのも事実です。自分の資金状況や知識レベルに合わせて、無理のない範囲で取り組むようにしましょう。

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