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「誰にも迷惑をかけたくない」は本当に「正しい」のか? 岩城滉一が定年退職し、妻に先立たれた〈71歳〉を好演『ラストターン』が投げかける希望【G60シネマ】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月11日 17時15分

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(C)2023『ラストターン』製作委員会

酸いも甘いも嚙み分けた大人の世代に見てほしい映画を紹介する「G60シネマ」。今回は、俳優の岩城滉一さんが26年ぶりに主演を務めた映画『ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春』(久万真路監督)(5月10日公開)を紹介します。

定年退職し愛妻を看取った71歳・健二が第一歩を踏み出す

映画は、定年退職し、認知症だった愛妻も看取り、ひとり静かに暮らす71歳の福山健二(岩城さん)が、第二の人生の第一歩を踏み出す……というオリジナルストーリー。

最近物忘れに不安を覚えめた健二は、残りの人生を、息子家族にも誰にも迷惑かけずに過ごすため、健康維持を意識する。その一つとして、市のコミュニティクラブに参加した健二は、同年代の橋本と出会い、さまざまな場所に出かけ、友好を深めていく。ある日、橋本は水泳教室に健二を誘う。全く泳げない健二は躊躇するのだが、橋本の「できないことをできるようになるのは愉快じゃないですか?」という言葉に後押しされ、参加を決める。その教室には、夢破れ、若くして「残りの日々」を過ごす、香里がコーチとして勤めていた。水泳を大切な「挑戦」であり「目標」だと考えはじめた健二に、次第に変化が訪れる。

健二を置いて亡くなってしまう認知症を患っていた愛妻を宮崎美子さん、老いてからの友人で健二をいろいろなところに引っ張っていく橋本を田山涼成さん、健二たちが通う水泳教室の講師・香里を高月彩良さんが演じる。

「誰にも迷惑をかけたくない」は果たして「正しい」のか?

人生100年時代と言われ、定年退職後・子育て後の“第二の人生”について、多くの人が思いを巡らすようになった現代。厚生労働省は「高齢者が尊厳を保ちながら暮らし続けることができる社会の実現を目指して」様々な制度改革に取り組んでいるものの、高齢者の社会的孤独、認知症・介護などの問題も山積みしている。

岩城さん演じる健二は友人の橋本に腕を引っ張られ、背中を押され、なんとか新しいことへの第一歩を踏み出すが、その第一歩は、どんなに健二にとって大きな一歩だったのかが丁寧に綴られている。

「誰にも迷惑をかけたくない」と思って静かに余生を送る健二だが、久万監督は、「人様に迷惑をかけないという信条は、とても尊く崇高ですが、時として人を追い詰めてしまいます。自己責任が持てはやされ、できないものが悪く、助けを求めることが罪悪のようにとられてしまう現在の日本社会。弱い者がためらうことなく助けの声をあげられる世になれば、未来への不安から放たれ、今の生活を楽しく安心して生きていけるのではないでしょうか」と作品に込めた思いを明かしている。

映画では、夢破れて「残りの日々」を過ごす水泳インストラクター・香里の葛藤や次の第一歩を踏み出す姿も描かれ、決して「シニア向け」の枠にはとどまらない希望に満ちた作品だ。 映画『ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春』は公開中。

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