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親を捨てるつもりか!〈年金月15万円・86歳父〉が〈62歳ひとり娘〉に罵詈雑言。それでも「老人ホーム入居」しか選べなかった壮絶事情

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月12日 5時15分

親を捨てるつもりか!〈年金月15万円・86歳父〉が〈62歳ひとり娘〉に罵詈雑言。それでも「老人ホーム入居」しか選べなかった壮絶事情

(※写真はイメージです/PIXTA)

いまや、高齢者の住まいの有力な選択肢になっている「老人ホーム」。しかし、昭和の時代には「姥捨て山」と揶揄する人も多く、そのイメージを今なお抱いている人も。それにより、ヒドイ親子げんかに発展するケースも珍しくはありません。

56歳女性「50代はずっと親の介護をしていました」

阿部明美さん(仮名・56歳)。実家で父・勝さん(仮名・80歳)と2人暮らしをしていましたが、先日、勝さんは老人ホームに入居したといいます。老人ホーム入居に際し、ひと悶着あったようです。

――「お前は親を捨てるつもりか!」と……すごかったですね、隣近所にも聞こえるくらいの大声で何度も何度も。心配したお隣さんが「大丈夫?」と訪ねてくるくらい

父・勝さんは要介護3で、ひとりで立ち上がったり歩いたりはできず、排せつや入浴、着替えには全面的な介助が必要です。介護が始まったのは2年前。脳卒中で倒れ、麻痺が残ったことがきっかけでした。

【介護度別・「介護が必要となった主な原因」上位3】

■要介護1

認知症…26.4%、脳血管疾患…14.5%、骨折・転倒…13.1%

■要介護2

認知症…23.6%、脳血管疾患…17.5%、骨折・転倒…11.0%

■要介護3

認知症…25.3%、脳血管疾患…19.6%、骨折・転倒…12.8%

■要介護4

脳血管疾患…28.0%、骨折・転倒…18.7%、認知症…14.4%

■要介護5

脳血管疾患…26.3%、認知症…23.1%、骨折・転倒…11.3%

※出所:厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』

実は明美さん、父・勝さんの介護の前には、母・京子さん(仮名・享年76歳)の介護があったといいます。

――母もくも膜下出血で麻痺が残り、そのあと認知症にもなって。在宅での介護は4年……5年か

つまり、50代になってから親の介護がメインの生活だった明美さん。「もう限界」と父親を老人ホームに……というわけではありません。正確にはそれだけではなく。実は義父も介護が必要となり、明美さんの介護負担が激増したのです。

――夫も義兄弟も仕事がありますし、動けるのは私しかおらず……肉体的にはもちろん、精神的にもまいってしまったんです

わけもわからず涙が出るようになったという明美さん。異変を察知した夫が病院に連れていくと、軽症うつ病の診断。このままの生活を続けていくと症状が悪化させてしまう、今のうちにきちんと休養をとらないと、取り返しのつかないことになると厳しくいわれたといいます。

今後、お互いの親の介護をどうするか。夫や義兄弟とも話し合い、プロに任せるほうがいいだろうという結論に達したといいます。

介護者の7割「悩みやストレスを抱えている」

父・勝さんの老人ホームは、月15万円ほどの年金を鑑みて、実家からもほど近い「介護付き有料老人ホーム」を選びました。明美さん自身が見学をし、「ここであれば、父を任せることができる」と太鼓判を押したホームです。

――月額費用は月18万円とほかの施設から比べて安いのですが、施設の雰囲気がとてもよくて。介護サービスもきめ細かく、ここであれば父も喜んでくれるかなと思いました。何よりも自宅からも近く、毎日でも顔を出せるのが一番のポイントでした

ただ、このような状況であることなど知らない勝さん。また勝さんの世代には「老人ホーム=姥捨て山」という、昭和時代に流布したイメージが今なお強く、明美さんが老人ホームという言葉を出しただけで、冒頭のように激高したという顛末。ただこれ以上、明美さんは無理をさせるわけにはいかない……明美さんの夫からの説得もあり、勝さんは老人ホームに入居することになったといいます。

厚生労働省の調査によると、主に介護に携わっている人のうち、「悩みやストレスがある」と回答したのは、要支援者の介護者を除き72.5%。要因で最も多いのが「家族の病気や介護」で、悩み・ストレスありと回答した人の84.0%。「自分の病気や介護」26.2%、「収入・家計・借金等」22.1%、「家族との人間関係」20.8%、「自由にできる時間がない」19.2%と続きます。家族者は普段の介護を中心に、さまざまなことに悩みやストレスを抱えていることがわかります。それにより、明美さんのように心に不調をきたしてしまう人も珍しくはありません。

意図せず、老人ホームに入居することになった勝さん。当初は不服であることが誰にでもわかるような状態だったといいますが、最近は穏やかに過ごしているとのこと。

――やっぱりプロですね。ひとりで抱え込まず、早く相談しておけばよかったと、今になって思います

[参考資料]

厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』

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