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【クルマ初モノ図鑑④】安全装備~ブレーキ機能向上時代から自動制御へと進化

&GP / 2017年9月13日 22時0分

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【クルマ初モノ図鑑④】安全装備~ブレーキ機能向上時代から自動制御へと進化

ぶつからない機能や万が一の際に乗員や歩行者を守る機能…。重く硬い物体が高速で移動するというクルマの開発の歴史は、安全性を高めるための歴史だったと言っても過言ではありません。

最新モデルでは、アクセルとブレーキを制御しながら先行車に追従し、ステアリング操作の修正などもクルマが行います。このような技術の先にあるのは、クルマ自身が周囲のクルマや社会インフラと協調しながら自らの意志で走行し事故が大幅になくなる“自動運転社会”でしょう。

それを実現するにはまだ時間がかかりますが、クルマの安全性は黎明期から飛躍的に進歩しています。今回は、安全装備の歴史を振り返ってみましょう。

■日本初のユニサーボブレーキ ~ダットサンブルーバード(1959年)

クルマを減速、停止させたいときはブレーキを踏みますよね。私たちは運転するとき、ごく普通の力でブレーキペダルを踏んでいますが、考えてみれば高速で動いていている数百kg~1t以上ある物体を止めるというのは並大抵の力ではできまません。昔のクルマはブレーキがとても重く、運転するのがとても大変だったそうです。ブルーバードは前輪に軽い力でも強力な制動力を発揮するユニサーボブレーキを採用。これにより、女性でも楽に運転できるようになりました。

 

■日本初の4輪ディスクブレーキ ~トヨタ2000GT(1967年)

言わずと知れた日本のスーパーカーで、その希少性から現在では天文学的な価格で取引されているトヨタ2000GT。日本初のリトラクタブルヘッドライト、日本初の4輪ダブルウィッシュボーンサスペンション、トヨタ初の直6DOHCエンジンなど、先進技術が惜しみなく投入されています。4輪ディスクブレーキもそのひとつ。そして軽い踏力で大きな制動力を生み出すために、ブレーキブースターが取り付けられています。これによりフェード現象が起こりづらくなったと同時に安定性も向上。世界の高性能GTカーと肩を並べる存在になりました。

 

■日本初のABS ~日産プレジデント(1971年)

ブレーキペダルを強く踏んで急ブレーキをかけるとタイヤがロック。すると制動力がなくなると同時にハンドル操作も利かなくなるのはご存知の通り。ブレーキロックを防ぐポンピングブレーキを教習所で習ったと思いますが、それを自動で高速に行う機構がアンチロックブレーキシステム(ABS)です。ABSはもともと鉄道でのブレーキ制御や航空機でタイヤのバーストを防ぐために開発された技術。それをもとに1960年代後半に開発され、'71年、日産プレジデントに初搭載されました。ただし今のような四輪制御は技術的に難しく、後輪2輪のみ制御するものだったそう。そのため、ブレーキ制御はできても前輪がロックしてしまい、操舵性を確保するのは難しかったと言います。

 

■テンパータイヤを初搭載 ~日産スカイライン(1981年)

トラックやクロカン四駆は、万が一タイヤがパンクした際のスペアタイヤとして4輪に装着しているものと同じタイヤが装備されています。一方乗用車では、トランク下などに細くて小さいタイヤが入っていましたね。これがテンパー(一時的な)タイヤです。テンパータイヤが初搭載されたのは、'81年にデビューしたR30スカイラインのハッチバックから。その後急速に普及しましたが、逆に現在では搭載しているクルマは少なく、万が一パンクしても修理工場までの距離を走れるように設計されたランフラットタイヤを履いたり、パンク修理材を搭載したりしているクルマが増えています。なお、パンク修理材には使用期限があるので、期限が過ぎていないか確認するのを忘れずに。

 

■国産初のSRSエアバッグシステムを採用 ~ホンダレジェンド(1987年)

衝突事故の際、一気に膨らんで乗員の衝撃をやわらげるエアバッグシステム。現在では前席のほか、サイドエアバッグ、ニーエアバッグなどさまざまな場所に搭載されています。このエアバッグを日本で初搭載したのが'87年にマイナーチェンジしたホンダレジェンド。このときは運転席のみの装着で、約16km/h以上の衝撃が加わると約0.03秒でバッグを膨張させ、ドライバーの顔面への衝撃をやわらげるものです。当時のプレスリリースにはその仕組みや作動の仕方が詳細に書かれています。あわせて、SRSエアバッグはシートベルトの補助装置であることもきちんと明記されています。レジェントはその後、'90年のフルモデルチェンジ時には助手席エアバッグを日本初搭載しています。

■世界初の車間距離調整機能付きクルーズコントロール ~三菱ディアマンテ(1995年)

高速道路の巡航時、アクセルペダルを踏まなくても一定速度で走り続けるクルーズコントロール。現在では前方をレーダーやカメラでセンシングし、速度調整しながら一定の車間距離を保って走行できるようになっています。これを初搭載したのが'95年にフルモデルチェンジしたディアマンテ。ルームミラーに内蔵した小型カメラで先行車を認識すると同時に、レーザーレーダーで先行車との距離を計測。車速に応じで車間距離を自動制御する画期的なシステムでした。またディアマンテは、日本初となるタイヤ空気圧低下警報や強い衝撃が車体に加わったときに自動でドアロックを解除し乗員の脱出を促す機能も装備していました。

 

■世界初のSRSカーテンシールドエアバッグを搭載 ~トヨタプログレ(1998年)

5ナンバーサイズのボディにセルシオに匹敵する豪華さを盛りこんだ小さな高級車、プログレ。モデルとしては1代限りでしたが、9年以上に渡り生産され、現在でも中古車市場でマニアックな人気を誇るモデルです。プログレは前席デュアルエアバッグとサイドエアバッグが標準装備で、3L車には側方からの衝突の際にガラス面を覆うように展開し乗員の頭部への衝撃を和らげるカーテンシールドエアバッグも標準装備されていました(2.5Lはオプション)。このカーテンシールドエアバッグ、プログレでは前席のみの対応でしたが、現在は後部座席まで一気に展開するようになっています。

 

■世界初のステレオカメラ方式のドライバー支援システム ~スバルレガシィランカスター(1999年)

今やスバルの代名詞ともなっているステレオカメラ方式の運転支援システム「アイサイト」。スバルは古くからステレオカメラ方式にこだわり、すでに'89年には開発をスタートさせていたと言います。そして'99年5月、現在のアウトバックの前身モデルとなるレガシィランカスターにADA(アクティブドライビングアシスト)をオプション設定しました。このときのステレオカメラは、車線を逸脱しそうになったり前車に近づきすぎたたりしたときに警告するというものでした(車間距離制御クルーズコントロールも搭載)。そしてADAはその能力を進化させ、2008年にアイサイト(EyeSight)としてレガシィアウトバックに搭載。最新のアイサイトver.3はステレオカメラのカラー化により、歩行者や自転車の識別はもちろん、前車のブレーキランプも認識しています。

 

■世界初の車線逸脱防止システム ~日産シーマ(2001年)

カメラで高速道路の車線を認識し、ウインカーを出さずに車線を逸脱しそうになると警報を出し、同時にステアリングを自動で修正するレーンキープサポートシステムを世界初採用したシーマ。対応は高速道路の直線路のみでしたが、それでも画期的な機能でした。シーマには、車間自動制御システム(レーダークルーズコントロール)も備わり、レーンキープアシストと協調制御することで、高速道路での自動追従が可能になったのです。ちなみに現在では多くのモデルで採用されているドアミラーウインカーを国内初採用したのもシーマになります。

 

■単一の安全装備から、複数の制御機能を協調させる時代に

紹介した安全装備は、その後改良を重ね、デビューしたときよりも性能は大幅に向上し、多くのクルマに採用されています。また現在は、単一の機能を働かせるだけでなく、複数の機能を協調させながら安全性を高める時代になっています。たとえば日産のプロパイロットというシステムは「車線逸脱防止システム」「車間自動制御システム」などを協調制御し、高速道路単一車線においてドライバーに代わってアクセル、ブレーキ、ステアリング操作を行います。今後は車両周囲の状況をより高精度にセンシングする技術、不測の事態を予知すると同時に危険と判断しそれを回避する技術、クルマが周囲の車両やインフラとつながってさまざまな情報を取得する技術が出てくるでしょう。その先に、私たちが思い描く自動運転が実現する社会が待っているはずです。

 

(文/高橋 満<ブリッジマン>)

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