【レクサス LSターボ試乗】走りで選ぶなら断然ターボ。今後の進化にも期待大:岡崎五朗の眼
&GP / 2018年3月4日 19時0分
【レクサス LSターボ試乗】走りで選ぶなら断然ターボ。今後の進化にも期待大:岡崎五朗の眼
11年ぶりのフルモデルチェンジにより、好調なセールスが伝えられるレクサス「LS」。
そんなニューLSに搭載されるパワーユニットは、従来モデルの5リッターV8+モーターのハイブリッドと、4.6リッターV8自然吸気エンジンからダウンサイジングを行い、新たに3.5リッターV6+モーターと、3.5リッターV6ツインターボへと変更された。また、新型LSの開発キーワードのひとつ“エモーショナル”を具現した、躍動感あふれるたたずまいと、感性に訴えかけてくるドライブフィールも注目を集めている。
特に“走り”において新型LSの象徴ともいえるのが、新開発のターボエンジン搭載モデル。今回、公道での試乗が叶ったので、その印象をお伝えしたい。
■駆動方式やグレードで走りのキャラクターが異なる
ターボ仕様の「LS500」とハイブリッドモデル「LS500h」との違いをひと言で表すならば、LS500は“よりスポーティ”というものだ。アクセルペダルを踏み込めばエンジンは気持ちよく応えてくれるし、絶対的な加速力も強力。結論からいえば、ドライバー視点でスポーティな走りも楽しみたい人は、ハイブリッド仕様よりもLS500をお勧めしたい。
そのカギとなるエンジンは、ニューLSの登場に合わせて新開発されたもの。排気量3444ccのV型6気筒にツインターボを備え、最高出力は422馬力、最大トルクは61.2kg-mを発生する。過給機付きのエンジンらしい、しっかりとしたトルクも魅力だが、意外だったのは、4000回転、5000回転と高回転域まで回していくと、いい音が聞こえてくることだ。このサウンドを聞きながら走らせていると、ラグジュアリーサルーンというよりも、スポーティセダンに乗っている感じがする。
確かに、メルセデスAMGの「S63」や「S65」、BMW「M5」といったライバルは、8気筒や12気筒のターボエンジンを搭載し、最大出力は500馬力、最大トルクも100kg-mに迫ろうというモデルだから、スペックだけで比較すれば、LS500は控えめに映るのも事実。しかし、公道というステージに限れば、LS500はエンジンが気持ちよく回り、十分な加速力を味わえて、そして、いい音も聞かせてくれる。高速道路も含め「気持ちいいね」、「速いね」と思えるだけの性能を十分備えていると思う。
新型LSがコンセプトのひとつに掲げる“エモーショナル”というキーワードを、このターボエンジンは間違いなく具現している。そして同時に、最先端の急速燃焼技術を盛り込むことで、燃費を改善している点もレクサスらしい部分だろう。
新型LSは、ターボ、ハイブリッドともにFR(後輪駆動)とAWD(4輪駆動)という2種類の駆動方式が用意され、グレード構成はベースとなる「標準モデル」と「Iパッケージ」、ラグジュアリーな「バージョンL」と「エグゼクティブ」、そして、スポーティさを追求した「Fスポーツ」をラインナップする。
LS500のFR車には“DRS(ダイナミックリアステアリング)”と呼ばれるリアタイヤの操舵システムが採用されており、高速走行時の車両安定性や、ワインディングロードでの軽快なステアリングレスポンスを実現。さらにFスポーツには、コーナリング時などでの車体のロールを抑える“アクティブスタビライザー”も備わる。
これまで、LS500の各グレードに試乗してきたが、例えば、DRSが備わらないAWDモデル、特に、エグゼクティブやバージョンLといったラグジュアリーグレードは、S字カーブや細かいコーナーでステアリングを大きく切る必要があり、どうしても「よいしょ…」という身のこなしになってしまう。
そのため、ニューLSらしいスポーティな走りを求めるならFRのFスポーツ、ラグジュアリーさだけでなく走りも楽しみたいならFRモデルのラグジュアリー仕様、という選択がベターだろう。AWD車は現状、パッセンジャーの頭が揺れない、リアシート重視の穏やかなキャラクターという味つけといえる。
さて、LS500のターボエンジンを快適性やパッセンジャー視点で観察するならば、まだ全体的にザラつきが感じられるのが惜しいところだ。6気筒だから8気筒や12気筒のライバルに劣るのか、といわれれば、決してそんなことはないが、「エンジン内で爆発が起こっている」という燃焼の“粒”が感じられ、サウンドも躍動感こそあるが、管楽器のような色っぽさや艶のある音色とはいいがたい。8気筒や12気筒に対抗するために開発したエンジンであるだけに、今後、もうひと頑張り期待したいところだ。
先頃、メルセデス・ベンツは新開発の直列6気筒エンジンを日本市場にも投入してきたが、LSのターボエンジンはまだそのレベルには達していないというのが実情。LS500のターボエンジンにもう少し滑らかさが出て来たら、グッと高級車らしくなると思う。
スポーティさと高級さを両立させるのは、実は簡単なことではない。だが、メルセデス・ベンツやBMWの例を見れば、決して不可能ではないはずだ。レクサスがこれまで踏み込んだことのない領域へとLSでチャレンジしたことは高く評価できるが、まだまだやるべきことはある。
例えば、荒れた路面を走った時などは、太鼓をたたくような「ドンドン」という音が聞こえてくることがあるが、これを抑えないと実際の乗り心地よりも、感覚的にネガティブな印象を受けてしまう。計測器上では上下Gが小さくても、不快な音が伴うと揺れや突き上げをより大きく感じてしまうのだ。この辺りは今後、要所となる部分の剛性や板圧をさらに引き上げるといった改善が必要だろう。
さて、現時点でLS500を選ぶなら、エモーショナルという開発コンセプトに沿ったFスポーツがお勧めだ。一方、LSはレクサスというプレミアムブランドのフラッグシップモデルであるし、ラグジュアリーなサルーンでもある。その点から考えると、スポーティさはもちろんのこと、初代LS(トヨタ「セルシオ」)で世界を驚かせた、滑らかさや静粛性といった本来のバリューについても、今後、1位を目指すべきだろう。少々厳しい意見かもしれないが、これは新しいLSにまだまだ伸び代があると感じているからこその意見。今後の進化にも大いに期待したい。
<SPECIFICATIONS>
☆LS500 バージョンL(FR)
ボディサイズ:L5235×W1900×H1450mm
車重:2240kg
駆動方式:FR
エンジン:3444cc V型6気筒 DOHC ツインターボ
ミッション:10速AT
最高出力:422馬力/6000回転
最大トルク:61.2kg-m/1600~4800回転
価格:1320万円
<SPECIFICATIONS>
☆LS500 Fスポーツ(FR)
ボディサイズ:L5235×W1900×H1450mm
車重:2230kg
駆動方式:FR
エンジン:3444cc V型6気筒 DOHC ツインターボ
ミッション:10速AT
最高出力:422馬力/6000回転
最大トルク:61.2kg-m/1600~4800回転
価格:1200万円
(文/岡崎五朗 写真/村田尚之)
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