【試乗】楽しすぎ!オフロードビークルはでっかいオモチャ!
&GP / 2015年10月12日 21時0分
【試乗】楽しすぎ!オフロードビークルはでっかいオモチャ!
「オフロードビークル(以下ORV)」とは、悪路やオフロード走行に特化した自動車のこと。近年では、災害時に大型車両での救援作業が困難なシチュエーションにおいて活用が期待されている、注目のカテゴリーです。そのORVを多くリリースしているアメリカのATV(全地形対応車両)メーカー、ポラリス社の試乗会が開催されるというので、早速行ってまいりました!
あ、ご挨拶が遅れましたが、試乗を担当するのは“タイヤのついた乗り物なら何でも好き”お気楽ライター・三才(サンザイ)です。全ラインナップのうち2台、それぞれオフロードコースとサーキットで乗ってきました。アクシデントあり、笑いありの試乗体験記、ぜひお楽しみください!
■ををっ!た、楽しすぎる!オフロードで走らないともったいない!
XP 1000 CALAVERA EDITION
試乗1台目は「RZR」シリーズの特別仕様車「XP 1000 CALAVERA EDITION」。何が特別仕様なのかというと、まず外装のグラフィック。やたら強そうですね(ケンカとか)。他にサスペンションアームやブラックアルミホイールなど、イケイケ感がハンパありません。フロントのサスペンションとか見ると狂気すら感じますが、仲良く2人乗り仕様です。
迫力のリアビュー!
試乗する場所はオフロードコース。数日前の雨によりマディな個所がいくつかあって、絵的に大変おいしいコンディションです。すでに他のメディアの方々がバンバン乗り回していらっしゃるので、初対面からドロドロ状態でした(笑)。
ポラリス社のORVはすべて窓のない完全オープンエア(標準)。このRZRシリーズに至っては、エンジンやタイヤなどの主要パーツに強固なフレームが乗っていて、申し訳程度にボンネットやドアが付いている……そう理解していただいて良いかと思います。レンジャーとかサバゲーとかそういう物騒な単語が脳裏に浮かんで消えていきます。
サスペンションのストロークもたっぷり!
しっかり泥の付いたシートに着座。ちなみにこのRZR、外装と一緒に内装も洗車することが可能なんだそうです(ワイルド……)。6点式のシートベルトにもその本気度がうかがえます。メーカーの担当さん曰く「走行中にひっくり返る可能性もありますからねー」。若干おびえつつ操作系を確認。ミッションはポラリスCVT(普通のAT)、二駆モードと四駆モードを選べます。問答無用で四駆をセレクト。どんだけ攻めるつもりなのでしょう。
泥だらけのシート……
ハンドル周りはスッキリ
ここでアクシデントが! 私の脚が短すぎて(ちなみに身長155cm)アクセル&ブレーキペダルをきちんと踏めないという事案が発生。さすがアメリカ製、屈強な大男が乗る設計なのね……なんて感心していられません。すでにシートは目いっぱい前にセット済み。どうする三才!
そこに居合わせた知り合いのジャーナリストさんがそっと差し出してくれたのが、なんと「浮き輪」。ご自身のクルマの中に、たまたまお嬢さんの浮き輪が入っていたんだそう。お借りして背中に挟んだらピッタリ! 嗚呼、神は見捨てなかった……ありがとうございました!
背中に浮輪を挟んだらぴったり!
浮輪、ありがとうございましたっ!
勇んでコースへ。平坦な周回コースですが、わだちや泥溜まりがあって決してラクなコースではありません。がしかし、四駆モードを選んだおかげでコーナーでもしっかりグリップし、振られることもなくスムーズ。二駆モードに切り替えた時は、少しリアが滑ってヒヤッとすることも(運転が下手という説もあり)。
ハンドリングはクイックではない印象ですが、リニア過ぎるとちょっと怖いかもしれません。また、サスペンションは変にフワフワすることもなく必要十分な働きをしてくれます。マディな個所で少しだけアクセルを煽って、オフロードの疾走感を楽しんだりも。こういうことをするから車両が泥だらけになるんですけどね(笑)。
この「RZR XP 1000 CALAVERA EDITION」は、スピードを出す類いのクルマではありませんが、フープス(モトクロス場のコブ)や河の上流のガレ場といった悪路にわざわざ赴いて、ゴリゴリ走ってみたくなります。ものすごく良く出来たオモチャのクルマという感じでした。泥だらけになったけど、楽しかった!
【サンザイの試乗後記1】
【POLARIS RZR XP 1000 CALAVERA EDITION】
エンジン:DOHC直列2気筒ガソリン
排気量:999cc
最高出力:110馬力
トランスミッション:ポラリスCVT
駆動形式:ハイパフォーマンス・オンデマンドAWD/2WD
乾燥重量:625.5kg
乗車定員:2人
■無骨で頑丈、安定した走りはまさに「ORV界の高倉健」
RANGER CREW 900 EPS
試乗2台目は「RANGER CREW 900 EPS」。災害救助対応に最適なRANGERシリーズは官公庁などからも注目されていて、今年の6月には、2人乗りの「XP 900」が大型特殊自動車としてナンバーを取得しているそうです。さて、私が試乗する「CREW 900 EPS」は5人乗りの大型タイプ。先に試乗した「RZR」よりは、取っ付きやすい雰囲気です。しかも、試乗場所はオフロードコースではなくサーキット! 果たしてどんな走行体験になるんでしょう?
早速、実車とご対面。ひたすら無骨で固そうなイメージです。そういえば、試乗前のカンファレンスでは、RANGERシリーズについて「トレイル、農場、狩猟など、さまざまな場面での過酷な作業にも耐える頑丈な作り」と解説していました。何人掛かりでよっこいしょと横倒しにしても全然へこまなそうです。高倉健さんのような頼りがいを感じます。
リアサス周り。武骨!
5人乗りは便利そう
荷台のロゴ
5人乗りだけあって車内スペースは広々。ご多分に漏れず、このタイプにも屋根や窓がないので、広いというか、車外との境がないように感じます。スカスカな開放感とでも言いましょうか(笑)。しかもドアがあるべきところに「網」が設けられています。ドアが網ですよ、どんだけヘビーデューティなんでしょうか。さらに後ろには頑丈そうな荷台が装備され、高い積載力を確保しています。これでキャンプに行ったら楽しいでしょうね!
3人乗れるリアシート
荷物積み放題のリアキャリア
網ドアの説明を聞いてます!
ミッションは最初に試乗した「RZR」同様、ポラリスCVT。シフトレバーが少々渋い気がしましたが、それは単に私に力がないだけで、屈強なアウトドア野郎が操作するには全く問題ないかと思われます。また、ダッシュボードの真ん中にあるスイッチ操作で、二駆モードと四駆モードのセレクトが可能。その他、速度メーターは「km/h」表示(マイル表示だと焦る)、ドリンクホルダーやグローブボックスなども装備されているので、わりと普通のクルマのような感覚で乗れそうです。
ハンドル周りはシンプルです
サーキットを失踪!じゃなく疾走中です
前方はスカスカで視界良好すぎ(笑)
いざ、試乗スタート! 直線ではスムーズかつ安定した走り。ごついタイヤを履いているのに、振動などはほとんど気になりません。がしかし、全長全幅に対して意外と車高があるので、あまり減速せずにコーナーに入ると「このまま倒れるのでは……?」と少々ヒヤっとします。でも、全体的にはイイ意味で「普通のクルマ」です。強いていえば、眼前を遮るものが何もないので、走行風をモロに受けます。公道を走るときもヘルメットを被ったほうが良さそうですね。
【サンザイの試乗後記2】
【POLARIS RANGER CREW 900 EPS】
エンジン:DOHC直列2気筒ガソリン
排気量:875cc
最高出力:68馬力
トランスミッション:ポラリスCVT
駆動形式:オンデマンドAWD/2WD
乾燥重量:713kg
乗車定員:5人
実は今まで、ORVのことを「バギーにちょっと毛の生えたようなもの」としか見ておりませんでした。が、今回の試乗でガラッと意識が変わりました! だって、普通のクルマとほぼ同じ感覚で、快適に乗ることができるんですから。
フロントガラスが無いとかドアが網であるなど、細かいところにORVらしさが出ていますが、天気が良ければ無問題。悪天候でも遊びのスパイスだと思えば苦にならないでしょう(笑)。懐にちょっと余裕のある大人がアウトドアを愉しむツールとして、充分にアリだと思いました!
【取材・文・イラスト/三才はるな】
協力/アライヘルメット(http://www.arai.co.jp/)
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