結局のところ最強のペグって何?素材別で打ち比べてみた
&GP / 2020年10月12日 21時0分
結局のところ最強のペグって何?素材別で打ち比べてみた
長らく“これ一本あれば大抵のところで使えるよ”と言われてきたのが鉄の鍛造ペグです。かつてのキャンプロケでは、地面の下、数cm(5〜10cmほど?)のところに大きな石がゴロゴロあるキャンプサイトで予備の鍛造ペグを使っても、1張りのテントをたてるだけでひどく難儀したものです。
また、別のある日はあまりの気温の低さに地面が凍てつき、夏はプラスチックペグで対応できるのに鍛造ペグでないと手に負えないことも。そんなわけでスタッフにとって鍛造ペグはお守りのようなもの。
とはいえ、テント・タープ分をそろえるととにかく重い。
鍛造ペグに換わるペグはないものか。うまいこと見つかるといいなぁという思惑を胸に、川沿いで地面が硬いと噂のキャンプサイトで素材別ペグで試し打ちをしてみました。
試したのは次の5本。
左から
村の鍛冶屋「エリッゼステーク」(鍛造スチール、4本1640円・1本換算410円。長さ28cm、1本192g)
ogawa「ogawa TANZO PEG」(鍛造クロームモリブデン鋼、10本6900円・1本換算690円。長さ28cm、1本215g)
ノーブランド「異形ロープ止めJ型」(スチール、1本105円。長さ20cm、1本約50g)
ブッシュクラフト「SUSタフステーク」(特殊ステンレス、1本450円。長さ30cm、180g)
中華ブランド「チタンペグ」(チタン、6本2925円・1本換算488円。長さ25cm、1本40g)
はたして、長さ、素材、形から違いは見えてくるのでしょうか?
■安定感があり土の中でも回らない
「エリッゼステーク」
ハンマーでたたく部分が広めでしっかり打ち込めます。土の中の石に当たると、苦労はしますが8割の確率で打ち砕くのか深く打ち込めます。
明るい色で地面に打ち込んでも目立つのもポイント。エリッゼとはイタリア語で楕円を意味していて、ペグ自体が楕円形になっているのでロープに力が加わっても土の中で回らないこともアドバンテージ。ちなみに地面に差し込む部分の直径は7×9mmです。
■ファニーな見た目だけど強度あり
「TANZO PEG28」
鍛造ペグは叩いてカタチを作るので、粒子が整って型に流し込んで形作る鋳造ペグよりも高強度だとされています。スチールにクロームモリブデンを添加した合金鋼を金型に入れ、叩いて鍛えてできたのが「TANZO PEG」。鉄の鍛造よりも高強度だと言われています。ハンマーで叩いた感覚は鉄鍛造の「エリッゼステーク」と似ていますが、叩く面が広いので打ち損ないしづらいのが特徴です。
■ヘッドが丸く打ちづらい
「異形ロープ止めJ型」
ホームセンターによくあるロープ留めで、ペグに使うキャンパーをちらほら見かけます。安価だし、独特のデコボコで一度地面に刺さるとしっかり保持します。けれど、ヘッドが丸くて細いのでハンマーで打つ位置がずれやすく、うまく力が入りません。またハンマーが当たる部分が地面に刺さる部分の直線上にないので、うまく力が伝わらない印象です。結局これが一番手こずりました。安価なので、一般的な地面であればタープアレンジ用の予備ペグとして用意しておくのは悪くない選択でしょう。直径約6mm。
■錆びにくく強固
「SUSタフステーク」
スチール製に比べて断然錆に強い特殊ステンレス製で、横方向も縦方向も高強度。鍛造ペグと打ち比べてみて明らかな差は感じられませんでしたが、ヘッドが小さめなので時折打ち損ないます。持った感じは微妙に軽く、本数をまとめれば鍛造ペグよりも持ち運びやすそう。また雨の後でもそれほど気にせずケースに収納できるのがいいですね。ロープを引っかけるところは小さいながらも返しが付いています。このあたりが日本企画らしい繊細さです。
■軽いのにぐいぐい食い込むぞ
「チタンペグ」
どこのものともわからない「チタンペグ」なので、正直侮っていましたが、スッキリしたデザインと細いシルエットのおかげか、ぐいぐい入っていきます。石にぶつかると手こずりますが、それまでの区間は2つの鍛造ペグよりもスッと入りました。もっとも割高ですが、鍛造ペグ1本分(約200g)と「チタンペグ」5本分がほぼ同じ。撮影では30本ほど必要なので5kgほどの差が生じます(「チタンペグ」1.2kg、鍛造ペグ約6kg)。この重量差は価格の差をも補います。直径7mm。
* * *
実は今回の撮影では、ソロテントの付属ペグだったヒルバーグ「YペグUL」(硬化アルミニウム製)がとっても軽く、曲がることなくぐいぐい地面に食い込んでいきました。ペグの断面がトータルで狭いためでしょうか、ほかのペグよりも素早く入っていったイメージです。ただし、明らかに25cmよりも短いので、その下にあるであろう大きな石への破壊力は不明です。
いろいろ試してみましたが、結局のところ素材の差はあまり感じられませんでした。素材云々よりもハンマーとの接地面積と形、ハンマーからの力の伝わり方、そして地面と接する形などデザインによるところが大きいようです。
<取材・文/大森弘恵 写真/田口陽介>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter
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