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【レクサス LC試乗】単なる豪華クーペじゃない!走りも超一級の意欲的スポーツカー

&GP / 2017年4月30日 11時0分

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【レクサス LC試乗】単なる豪華クーペじゃない!走りも超一級の意欲的スポーツカー

レクサスの新ラグジュアリークーペ「LC」が、ついに発売されました。車両本体価格は1300万円〜1450万円。ポジショニング的に先代に相当する「SC」が700万円前後でしたから、お値段は約2倍。ニュークーペにかけるレクサスの野望と意気込みが、値付けからも分かろうというものです。

そのルックスはアグレッシブなもので、全長4770×全幅1920×全高1345mmと、典型的な“ワイド&ロー”のスタイル。今やレクサスのトレードマークとなった“スピンドルグリル”も、ピークを低い位置に持ってきてスポーティなイメージを強調します。

今回リリースされたLCは、もちろん、2012年のデトロイトモーターショーで披露されたデザインスタディ「LF-LC」の市販化モデルですが、LCの写真を見たり実車に接したりしていると「コレはレクサスのスーパースポーツ『LFA』の“民生版”ではないか!?」と感じる人も多いのではないでしょうか? 私もそう思いました。

LF-LC

LFA

実際、LCの大きなボンネットを開けると、サスペンションタワーに尋常ならざるゴツいアルミダイキャスト製の部品が使われていて、その上、左右をつなぐタワーバー…ではなく、エンジンを囲むように前後左右、6本の補強用ブレース(バー)が配され、サスペンション基部の剛性アップを万全のものとしています。新型クーペの“走り”にかける、エンジニアの方々の執念が立ち上ってくるかのような、気合いの入ったエンジンルームです。

そんなLCは「お客さまのライフスタイルを豊かにするパートナー」として開発されたレクサスのフラッグシップクーペ。新世代のレクサスモデルとして、イの一番に最新のFRプラットフォーム“GA-L”が与えられました。また、トヨタ…否! レクサス自慢のハイブリッドシステムも、根本から刷新されています。最新技術をどん欲に搭載するところは、LCの源流たる「ソアラ」を思い出させますね。ニッポンのスペシャルティも、すいぶん遠くに来たものです。

21世紀のスペシャルクーペには、高張力鋼板、アルミニウム、そしてCFRP(カーボンファイバー)など、複数の素材が用いられ、ボディ剛性のアップと軽量化が図られました。カタログ上の車重は1940〜2020kgと、絶対的には「軽い」とはいいかねる仕上がりですが、安全性を大幅に向上させ、この手のクルマにつきものの、各種豪華装備を搭載しての数字ですから、「この程度に留まった」と評するべきでしょう。

パワープラントは2種類。3.5リッターのV6(299馬力/36.3kg-m)とふたつのモーター(180馬力/30.6kg-m)を組み合わせたハイブリッド版と、5リッターV8(477馬力/55.1kg-m)に10速(!)ATを組み合わせた“ピュア”ガソリンエンジン車です。

先進のクーペモデルらしく、前者には“マルチステージハイブリッドシステム”と呼ばれる新機構が採用されました。

トヨタ「プリウス」などで使われているハイブリッドシステム(THS Ⅱ)は、エンジン、モーター、発電機を“動力分配装置”で有機的に結びつける方式です。そしてLCのマルチステージハイブリッドシステムでは、基本的な考え方はTHS Ⅱそのままに、構成要素を縦型に配置し直しました。

具体的には、エンジン→モーター(1)→モーター(2)→4速ギヤボックスの順に並びます。モーター(1)は、発電機やスターターとしても使われ、モーター(2)は主にトラクションを担当します。マルチステージハイブリッドシステムのキモは、エンジン+モーター×2の出力軸に4速のギヤボックスを追加したこと。これまで以上にエンジンを有効活用して「よりスポーティで」「燃費のいい」システムにすることができたのです。

ご存知の方も多いと思いますが、電気モーターには回り始めから最大トルクを発生できるという強みがある一方、回してもあまり意味がないこともあって、高回転がさほど得意ではありません。そのため、従来のハイブリッドシステムは、モーターの回転数の上限に配慮し、エンジンの回転数を抑える場面が生じました。しかし、マルチステージハイブリッドシステムでは、4枚のギヤを上手に活用し、この制限を回避しています。

ちなみに、LCハイブリッド版のトランスミッションは、これまでのハイブリッドモデル同様“電気式無段変速機”ということになりますが、擬似的に10速のギヤを切ることで、自然で、かつスポーティなフィーリングを実現しています。

最初に試乗したのは「LC500h Lパッケージ」(1350万円)。ハイブリッドモデルの豪華内装バージョンです。“ガラスパノラマルーフ”が与えられ、贅沢なセミアニリン本革シート(ベンチレーション&ヒーター付き)がおごられます。足もとは、オプションの21インチ!…というか、標準でも20インチのタイヤ&ホイールが与えられることに、ちょっと驚きます。

やんわりと適度に上体をホールドしてくれるレザーシートに座って走り始めると、なるほど、スムーズかつググッとスポーティです。まあ、1.8リッターエンジン(98馬力/14.5kg-m)とモーター(72+7.2馬力/16.6+5.6kg-m)を組み合わせたプリウスと、このLCハイブリッドとを比較するのもバカらしいことですが、“アクセルワーク”と“実際の走り”との結びつきが、マルチステージハイブリッドシステムはグッと強まりました。

また印象的だったのは、ボディの剛性感の高さ。十分なパワーアウトプットの恩恵で、薄く硬い外殻を持ったクルマが滑らかに走ってゆく感じ。「何かに似ている…」と記憶の底をかき回してみたら、12気筒エンジンを搭載するフェラーリが引っかかってきました。うーん、贅沢!

ただこのLCハイブリッド、「ステアリングは軽め」「足は硬い」…と、個々の印象をメモすることはできるのですが、なんとなく、全体像がつかめない。新型車を解釈しきれない、といいましょうか。

そんな漠とした想いを抱いたまま、純ガソリン車たる「LC500 Sパッケージ」(1400万円)を試乗させていただいたら、これが実にイイ!

走り出しから大排気量エンジンならではの力強さがあり、その後のナチュラルな加速感が、ハンドルを握るドライバーをうれしがらせます。スロットルワークに反応するクルマの動きが俊敏かつ大胆で、なんというか、竹を割ったようなスポーツクーペ。古典的なドライビングプレジャーが濃厚に提供されます。

自然吸気エンジンの分かりやすさに加え、今回の試乗車=格納式のリアウイングを備えたSパッケージは、21インチを標準とした足まわりにトルセン式のLSDを装備したスポーツ指向のグレード、ということもあって、キャラクターに迷いがない。レクサスLCをして、スーパースポーツであるLFAの弟分ととらえるなら、オススメは5リッターV8モデルではないでしょうか。

では、21世紀のハイブリッドスポーツたるLC500hは、どんな人が乗るのでしょう? あれこれ考えていたら「裕福な女性たちですかね?」と、助手席から同乗者の声。レクサスLCをスタイリッシュなラグジュアリークーペととらえるならば「それもアリ」と賛成しながら、図らずも、胸の奥でとぐろを巻いていた疑問がハッキリ姿を現しました(←ちょっと大袈裟)。

ハイブリッド、V8モデルを問わず、レクサスLCを運転していると、開発者の執念やエンジニアの方々のご苦労、クオリティと性能の追求といった事柄が、ビンビン伝わってきて感心します。“ラグジュアリーなスポーツカーのあるライフスタイル”のパートナーとして、新しいレクサスはまさにピッタリでしょう。

でも、これは個人的な思い込みに過ぎないのかもしれませんが“クーペのある生活”というのは、もう少し広がりがあってもいいんじゃないでしょうか? 私がLCに対して感じたような「スポーツ一択!」ではなく。ステッチが美しい作り込まれた室内とか、魅惑のサラウンドサウンドシステム(13スピーカー)といったハードウェアを超えた何か…。LCをドライブしながら、なろうことなら「ハイブリッドLCでソアラの夢を見たい…」と感じている私がいました。

<SPECIFICATIONS>
☆500h Lパッケージ
ボディサイズ:L4770×W1920×H1345mm
駆動方式:FR
エンジン:3456cc V型6気筒 DOHC + モーター
エンジン最高出力:299馬力/6600回転
エンジン最大トルク:36.3kg-m/5100回転
モーター最高出力:180馬力
モーター最大トルク:30.6kg-m
価格:1350万円

<SPECIFICATIONS>
☆500 Sパッケージ
ボディサイズ:L4770×W1920×H1345mm
駆動方式:FR
エンジン:4968cc V型8気筒 DOHC
エンジン最高出力:477馬力/7100回転
エンジン最大トルク:55.1kg-m/4800回転
価格:1400万円

(文/ダン・アオキ 写真/ダン・アオキ、トヨタ自動車)

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