【世界の絶景】今こそ行くべき世界遺産、「エルサレム」と呼ばれたマケドニアの秘宝・オフリド
GOTRIP! / 2017年9月14日 6時30分
バルカン半島の小国・マケドニアが誇る世界遺産、オフリド。
歴史的建造物が点在する街並みと、美しい自然環境から「オフリド地域の自然遺産及び文化遺産」の名で複合遺産に登録されています。
複合遺産とは、自然遺産と文化遺産、両方の登録基準を満たしている世界遺産のことで、全世界に1000以上ある世界遺産のうち、複合遺産はわずか30数件しかありません。このことからも、オフリドがいかに特別な価値をもっているのかがわかるでしょう。
オフリドはマケドニア南部、青く透き通るオフリド湖畔にたたずむ静かな町。400万年~1000万年前にできたといわれているオフリド湖はヨーロッパ最古の古代湖で、世界でも最も古い湖のひとつです。
9世紀に聖クリメントと聖ナウムが布教活動を行ったことで、オフリドはスラブ世界のキリスト教文化の中心地として栄えました。一時はこの小さな町に365もの教会が建ち並び、「マケドニアのエルサレム」とも呼ばれたほどでした。
さらに、10世紀末から11世紀末にかけては、ブルガリア帝国の首都となり、大主教座が置かれました。現在の穏やかでのんびりとしたたたずまいからは信じがたいほどですが、オフリドの旧市街には、今も往時をしのぶ数々の歴史遺産が残されています。
オフリドで出会えるのは、西ヨーロッパで見られるような華やかな教会ではなく、レンガ造りの素朴な教会の数々。その親しみやすさは、オフリドの町そのものです。
オフリドを代表する教会のひとつが、聖マリア教会。近年まで聖クリメントの聖遺物が収められていたことから長らく「聖クリメント教会」と呼ばれていました。
教会内部は13世紀のフレスコ画で覆われています。聖母マリアの生涯をはじめとする聖書の場面が描かれた壁画と天井画は保存状態の良さで知られていて、その神秘的な雰囲気は格別です。
近年改修され、湖畔に堂々たる姿を見せているのが、聖パンテレモン教会。オフリドにある教会のなかでも、特に複雑なシルエットが美しく絵になる教会です。
周囲では、現在進行形で初期キリスト教のバシリカの修復作業が進められており、今後この教会を取り巻く風景は大きく変わっていくことでしょう。
オフリドのアイコン的存在が、聖ヨハネ・カネオ教会。
旧市街の中心部から離れた湖畔にぽつりとたたずむ教会で、オフリド湖と一体になったその姿はなんともフォトジェニック。「これぞオフリド」というべき、わざわざ足を運ぶ価値のある風景です。
オフリドの醍醐味は、こうした教会群を訪ねながら日常感を残す旧市街をのんびりと歩くこと。
旧市街には、上階部分がせり出した伝統家屋が連なっていて、一部はレストランやホテル、土産物屋などとして使われています。
坂が多く、石畳の路地が入り組むオフリドの旧市街は思いのほか複雑。町の規模が小さいので、一度全容を把握してしまえば簡単ですが、最初は自分がどこにいるかわからなくなってしまうこともあるかもしれません。
でも、ぐるぐると歩くなかで思いがけず素敵な風景が見つかるので、迷ってみるのもまた一興。
まだまだマイナーで観光客の少ないマケドニアにあるからこそ、オフリドはこうした素朴な街並みを保っていますが、こんな町がもし西ヨーロッパの観光大国にあったとしたら、今ごろ一大リゾートと化していることでしょう。
現在のオフリドの宿泊施設は、小中規模のホテルやペンションが中心で、大型のリゾートホテルはありません。ところが、近いうちに湖岸開発によって現在ののどかな風景が一変してしまうかもしれないのです。
事実、世界シェアナンバーワンのガイドブック「ロンリープラネット」は、のんびりとした風情を楽しめるのは今のうちという理由で、オフリドを2017年に訪れるべき世界の都市第5位に選んでいます。
観光開発が進んでオフリドが経済的に潤えば、それはオフリドにとってもマケドニアにとっても喜ばしいことかもしれません。けれど人々の暮らしの匂いが随所に感じられる素朴な風景や、あたたかい空気こそが、西ヨーロッパのリゾート地にはないオフリドならではの魅力。
オフリドの町を一度でも訪れれば「この穏やかな風景がずっと変わらずにいてほしい」、そう願わずにはいられません。
Post: GoTrip! http://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア
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