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安田章大、「命はいずれ尽きる」身を持って体験した思いが今を楽しく生きるポジティブさに

クランクイン! / 2024年3月31日 8時0分

SUPER EIGHT・安田章大

 「おはようございま~す! SUPER EIGHTって言いま~す」。そう笑顔で取材場所に現れたSUPER EIGHTの安田章大。安田がこの春挑むのは、劇作家で演出家の青木豪と5年ぶりにタッグを組む、舞台 PARCO PRODUCE 2024『あのよこのよ』だ。青木による当て書きで明治初期を生きる架空の浮世絵師を演じる彼に話を聞くと、あふれるほどの舞台愛や、「めちゃくちゃポジティブ」だという今の心境に至るまでの変化などを真っすぐに語ってくれた。

◆5年ぶりタッグの青木豪にどう調理されるか楽しみ

 物語の舞台は江戸の幕末から大転換期を迎えた明治黎明期。とある浮世絵師とそれを取り巻く人々がひょんなことから事件に巻き込まれ珍道中に繰り出すことに。先行き不透明でどこへ向かっているのかさえ分からないご時世に、足が地に着かない人々が戸惑いさまようさまを、青木ならではのちょっとひねくれたユーモアと笑い、そこにちょっぴりの切なさ、さらには粋な音楽も織り交ぜ、爽快感あるエンターテインメントへと昇華させる。

 共演には昨年宝塚歌劇団を退団したばかりの元トップ娘役・潤花をはじめ、池谷のぶえ、落合モトキ、大窪人衛、村木仁、南誉士広、三浦拓真、さらには、市川しんぺー、中村梅雀と、実力派俳優が集結した。

――青木さんとは、古田新太さんと共演した『マニアック』以来の顔合わせ。前回印象に残っていることはありますか?

安田:世の中にこのような芝居を届けてもいいんだってことを学びました、こんな下ネタをって(笑)。古田さんと豪さんで、振り切ったおふざけっぽく見えるんですけど、ただ下ネタだけにはならなくて、ちゃんとストーリーがあり、エンターテインメントとして届けられるお二方の才能に、こういう見せ方があるんだ!と思いましたね。

――今回の出演オファーを聞かれて、どんなお気持ちでしたか?

安田:豪さんもこの5年の間に劇団四季で『バケモノの子』を当てたり、タイプの違う振り幅のある芝居を作り上げてきているので、どんな演出の付け方をするんだろう?と思いました。僕自身も、昨年70本以上舞台を観たので、自分の中に蓄積された芝居に対する演技プランもそうですし、体の使い方、言葉の投げ方といった吸収したものが、豪さんによってどのように調理されるのか楽しみにしています。

◆明治初期の時代背景には令和の今とリンクする部分も


――明治時代初期が舞台の本作で、浮世絵師・刺爪秋斎(サシヅメシュウサイ)を演じられます。

安田:豪さんからは、「こういう浮世絵を描いた人のイメージから今回の物語に着手したんだよね」という絵を見せていただきました。

江戸から明治と時代が変わったタイミングのお話なので、どう生きていったらいいだろう?と時代に翻弄されていくキャラクターなんだろうなと理解しています。そこは、現代の社会ともリンクする部分があるのかなとも思います。コロナ禍があったり、震災があったりと、いろんなものをどんどん失っていく。どう生きていけばいいだろう?と希望を失ったり、向かっていくべき場所がわからなくなる。現代の若い子たちが、なんだかどこに向かっていけばいいのかわからない、やりたいことが見つからないというのと、流れ方は違うんだけれども類似している感じがしました。

――安田さんは、2021年の舞台『リボルバー 〜誰が【ゴッホ】を撃ち抜いたんだ?〜』ではゴッホ役、2023年公開の映画『嘘八百 なにわ夢の陣』では“カリスマ波動アーティスト”役を演じられました。そして、今回は浮世絵師と、アーティスト役を務められることが多い印象があります。そうしたキャラクターを演じる際に、意識されることはありますか?

安田:無感覚なんですよね。ゴッホに関しては、ゴッホという実在した人物がいたので、ゴッホに関する映画も山ほど観て、本もたくさん読んで、背景から思考、もちろん見た目も、ゴッホをとにかくインストールしました。

“カリスマ波動アーティスト”は、“カリスマ波動アーティスト”に会ったことがないので(笑)。監督の武(正晴)さんに寄り添いながら作っていきました。今回は豪さんに寄り添いながら、豪さんがイメージする浮世絵師というものが台本に描かれているはずなので、それを自分の中にインストールすることから始めると思います。

――今回の役どころは当て書きとのことです。

安田:自分のことにあんまり興味がないんで、深掘りも正直しないんですよ。豪さんから見た僕は、浮世絵師にさせたかったのか、そして、痛快コメディだから、そういうものを担わせたかったのかって理解したくらいです。普段は重たいものを背負ってくれと言われることが多いのですが、豪さんはそっちではなく、皆さんの心が和むものを安田にやらせたかったんだなと思いました(笑)。

――共演の皆さんも、個性豊かな皆さんがそろわれました。

安田:作品を観ていていつかご一緒したいとずっと思っていた人衛くんがいたり、一緒にステージに立つのがワクワクするのと同時に、安心して船に乗らせていただきますという気持ちの両方がある皆さんですね。潤花さんは、宝塚を退団されてから初めてステージに立つので、初めての外でのお仕事ってすごく大切で貴重じゃないですか。ファンの皆さんにもめちゃくちゃ楽しんでもらいたいなと思います。のぶえさんともこないだお食事させていただいて楽しかったですし、みんなで大きなエンターテインメントを作れたらいいなと思います。

僕自身は、“全員が座長”という考え方でいつもやっているので、その中でみんなの心持ちを引っ張ってあげられたらいいなと思うし、みんなに毎ステージ楽しかったって思ってもらえることを大事にして作品に向き合えたらいいなと思っています。

◆「命はいずれ尽きる」身を持って体験した思いが、今を楽しく生きるポジティブさに


――先ほど、昨年70本以上の舞台を御覧になられたというお話がありましたが、何かきっかけがあったのでしょうか?

安田:観たいという意志がただただ盛り上がっていっただけです。もともと演劇は大好きでした。20歳すぎたころに劇団離風霊船さんからスタートし、『赤い鳥逃げた…』という芝居で衝撃を受けたのが一番最初のきっかけだと思います。

たくさん舞台を観るようになって、フライヤーでも、まず見るのは舞台監督さんや演出家さん。そして、美術さん、衣装さん、照明さんのクレジットから見るようになりました。そうすると、こういう方たちが作り上げるからこういうステージになっていくんだ、次は演出家さんがどんな演出の付け方をするのだろうというところに目が行くようになって。そのうち、この演出家さんはどこどこ出身だからこういう方々を使われているんだなと経緯がどんどん見えてきて、自分の好きな芝居の毛色も見えてきたんです。

僕は“においのする芝居”をする方が大好きなんです。見た感じ上手という感じには受け取れなくても、惹きつけられて鼻をくいくいしたくなる、「芝居のにおいって香ばしい~!」って思うようなお芝居。あるDVDで唐十郎さんが「くさいにおいのする芝居をしろよ!」って言っているのを見た時に、「あ、一緒だ」って思いました。

――安田さんの舞台に対する愛情が伝わってきます。

安田:僕は、毎公演、命尽きていいと思って板の上に立っています。基本的にセーブするってことを知らない人間なので、全公演当たって砕けてる感じなんです。観に来てくださっている方々と、肉体稽古をしている感じで、ぶつかり合って、その感覚で立っているから楽しいんですよね。

ちゃんと全公演終わったら疲れているので、たぶん体力を消耗はしているんじゃないですか? だけれど、心は元気なんで、疲れないんです。めっちゃくちゃポジティブで、ポジティブのさらに上にいった感覚です。

――そうしたポジティブさはどこから生まれたものなのでしょうか?

安田:それは、命はいずれ尽きるからです。「今ここを生きれなきゃ明日は楽しく生きれない」という言葉が大好きなのですが、僕は命をなくした経験を何度かしているので、そのおかげで今楽しく生きられているんだと思います。「ただただ生きようぜ!」「今起きていることだけ楽しんで行こうぜ!」って。病気を経験して、次もう1回アクシデントがあった時は、100%死んでるかなと思いました。でも今生きてるんで、「私、今ボーナスライフじゃん!」って。

僕は常々、今3度目の人生を生きていると感じているんです。最初の手術をした1回目があって、頑張って生き返っていってる最中に、渋谷(すばる)が辞める時の会見に出られなかった出来事があって、それが2回目の死で。今はそこからまた頑張って一生懸命生きている最中なんです。

――そんな安田さんの今を生きる熱量が詰まった本作ですが、作品を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いいたします。

安田:僕にとって演劇は、観に行く側としてはエネルギーの補給でしかないです。どんどん力が湧いてくるし、技術面でたくさんのことを吸収させてくれる場所。そして、発信することをワクワクさせてくれるものでもあります。そんな舞台って、みなさんのエネルギーが混ざることで100%や120%になって、初めて完成するんです。

せっかく時間を頂戴して観に来ていただくんですから、その時間は外のことを忘れて楽しもうよというメッセージを豪さんと共有しています。今回も豪さんに精一杯遊びを入れていただいて、来てくださる方々が、心があったまってウキウキして帰って行っていただける作品をお届けできたらうれしいです。

(取材・文:田中ハルマ 写真:高野広美)

 PARCO PRODUCE 2024 『あのよこのよ』は、東京・PARCO劇場にて4月8~29日、大阪・東大阪市文化創造館 Dream House 大ホールにて5月3~10日上演。

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