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佐倉綾音の表現論—正義を貫く“変わらない自分”の在り方

クランクイン! / 2025年1月5日 12時0分

でも、やっぱりどこかで時代は変わっていくもので、変わらないことにこだわりすぎると、今度は「時代に取り残された変わった人だな」と思われることもあるかもしれない。そういう悪目立ちはしたくないんです。

だから、時代を追いかけるというよりは、少し後ろをついていくぐらいの距離感で、時代と一緒には生きていきたいなと。新しいこともすべてが悪いわけではないですし、むしろ良い変化もたくさんあると思うので、変わらない自分を保つために、必要な変化は意識して取り入れていくようにしています。その辺りは、自分の中で大事にしている感覚ですね。

――そうした時代との向き合い方に関しては、以前のインタビューでも「理解はせども、共感はせず」という生き方をしたいと仰っていましたよね。そんな「変わらない自分」でいたことでほかに良かったと感じたことはありますか?

佐倉:3歳くらいからずっと知っている幼馴染に「変わらないね」と言われたことがあって、それがすごく嬉しかったんです。幼少期の自分って、ある意味すごく本質的な純度が高いというか、本当にありのままの自分だったと思うんですよね。

そこからいろんな経験をして、良くも悪くも「不純物」みたいなものが積み重なって、今の自分の考え方や価値観が形作られていると思うんですけど、幼少期の純度の高い自分も「間違っていなかった」という証拠のような気がして。それに、そうした純度の高さを今もある程度残しつつ生きられているのかなと感じることができたのが嬉しかったですね。

あまり「変わったね」と言われることがないのは、良いことなのか悪いことなのかはわからないですけど、私にとっては一つ大事な言葉として心に残っています。


■「自分のための表現」と「誰かのための表現」

――表現活動における「必要な変化」として、現在アプローチしていることはありますか?

佐倉:ここ数年、いろんなクリエイターさんとお話しする機会が増えてきたんです。これまではあまり交友関係を広げてこなかったんですけど、「この方と話してみたい」とリスペクトを感じる方と接する中で、すごく刺激を受けることが多くて。その中で「自分のための表現」と「誰かのための表現」という考え方に出会いました。

声優として関わる作品って、どうしても商業的な要素が強いんですよね。大きなお金が動くし、届く範囲も広い。10代の頃からそういう環境にいたので、だんだん表現活動の価値基準を「成果」や「数字」で考えるようになっていたんです。それが悪いことだとは思いませんし、しっかり敬意を持って関わりたい。何より「誰かのためになりたい」という思いはすごく大きいんです。ただ、その成果主義に囚われることの怖さに気づいてから、「表現ってそもそも何なんだろう?」と考えるようになって。

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