松重豊&遠藤憲一、血だらけの出会いから育んだ絆 60代も互いの活躍に刺激受け切磋琢磨
クランクイン! / 2025年1月31日 6時30分
遠藤:はじめは、どんな役を演じるのかはまったく知らなくて。ただ松ちゃんが監督をやると聞いて、監督業第1弾となる記念作に呼んでもらえるなんてうれしいし「もちろん、いいよ!」という感じだったんだけれど、まさか松ちゃんの化身みたいな役を演じるとは! 役をもらって「ウソだろう!?」と思いました(笑)。『孤独のグルメ』にはファンの方がいっぱいいますからね。がっかりさせてしまったらどうしようと、プレッシャーがありました。
あとオレ、食べるのがすごく下手くそなので…。何もかも「ヤバいな…」と。ラーメンを食べることになると聞いていたので、すぐに松ちゃんに連絡をして「これまでの麺を食べている回のDVDを送ってくれないかな」とお願いをしました。松ちゃんは食べることに関して、天才だからね。「どうやって食べればいいの?」と相談したら、「普通に食べればいいんですよ」と言うんです。松ちゃんは普段から美味しそうに食べるし、松ちゃんからしたらそうだろうけど、こっちは参っちゃいますよ(苦笑)。
松重:僕らは何度も一緒に飯を食っているので、遠藤さんがどんなふうに食べるかも目にしてきています。だから「普通に食べればいいんですよ」とお伝えしたんですが、「松ちゃん、どうすればいいの」「松ちゃん、自信ないよ!」と「松ちゃん! 松ちゃん!」と言うんですよ(笑)。こちらはもう「自由に食べてください!」という感じで。あの場面は、実際に『孤独のグルメ』を撮っているような空気感でやっていただきました。1日で全部撮り終えるという臨場感があって、とてもよかったなと思っています。
◆「松ちゃんは、お父さんみたいな人」
――現場で、松重さんの監督としての姿をご覧になっていかがでしたか?
遠藤:六郎がラーメンを食べている横で、五郎が普通にチャーハンを食べていて。不思議なシーンですよね。松ちゃんは役者を温かく包み込んでくれて、リラックスして芝居ができるようにしてくれました。あの日はアングルやカメラの動きにものすごくこだわっていて、松ちゃんは先生のようになって、スタッフに一生懸命に指導をしていました。演じながら、スタッフの教育もしながら、演出もしながら…と一人で何役もやっている姿を見て「本当にすごいな」と感心しました。
松重:『バイプレイヤーズ』は役者中心に脚本について話し合ったりする現場でしたが、その際にも僕は皆さんの意見をまとめる役割をしていたんです。役者たちから意見が出ると、スタッフを集めて「“こんなことをやりたい”と話しています」と、話し合いの段取りをしたり、意見調整をしたり。監督というのは、ある意味ですべての調整役でもあるので、その頃からその下地はできていたんですね。僕はそういうことが嫌じゃないタイプなので、向いているんだと思います。
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