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この映画がなければ「攻殻機動隊」は生まれていなかった~ 押井守氏が人生と映画について語る

IGNITE / 2019年2月6日 16時30分

「映画に愛をこめて アメリカの夜」には、見事に騙されました!たしか大学2年生の頃に観たんだと思うんだけど、観た直後に「映画監督になるしかない!映画監督にならなきゃ生きていけない!」と思ったんです。劇中に「君や私のような人間はね、映画の中でしか幸福になれないんです」っていう有名なセリフがあるんです。だから、現実との折り合いなんて諦めろっていう話なんだけど、そこに痺れた。自分もそう思い込んじゃったんだよね。まぁ、後になってそれは勘違いだったと判明するんだけど(笑)。

■「ブレードランナー」~未来の街を、これほど生々しく表現した映画はほかにない。
どうせこれ挙げるんだろ?って思ったんじゃないかと思うんだけど、やっぱり「ブレードランナー」は外せません!映画ベスト10を決めてくれと依頼された時ってその時の気分で基準を変えるんだけど、どの基準に照らしても必ず入ってきちゃうのがこの作品。

僕は「感動をもらった」とかそういうの大っ嫌いなんだけど、この映画には確かに勇気づけられた。「映画にしかできないことってなんだろう」とずっと思ってきた自分に、映画でしかできないことは「世界観」だという認識に確信を持たせてくれたから。これを観たときに、「やっぱり自分は正しかった」と思えたんだよね。だけど、僕は思考が極端だったんで「世界観だけでいいんだ!」と思い込んじゃった(笑)。

これが大きな勘違いで。ストーリーもキャラクターも必要だったんです。そういうことで、何度も何度も痛い目にあって、その結果として自分なりの考え方ができてきた。全部、戦いから学んだ「戦訓」ですね。だから、僕の話は聞く価値があると思うんだけど、「うるせえな」ってなもんで誰も聞いてくれない(笑)。色んなことを考える契機になったよ。いまだに考えているけどね。

「ブレードランナー」って、どういうストーリーだったか覚えている人はそんなにいないんだけど、「なんかすごいもん観ちゃった」っていうのはあるんだよね。架空の未来の街を、これほど生々しく表現した映画はほかにない。近未来でSFの世界を描こうと思ったら、もうこの映画の門をくぐらないわけにはいかないんですよ。当時、「ブレードランナー」っぽい映画がたくさん作られました。

私の「攻殻機動隊」とかもそうです。ただパクるだけじゃ申し訳ないから色々と要素を付け加えたりはしたけど、この映画がなければ「攻殻機動隊」も生まれなかったことは間違いないでしょうね。
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そのほか、番組では幼少期の映画体験や映画への想いなど、貴重なエピソードが満載の「この映画が観たい#65 ~押井守のオールタイム・ベスト~」。

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