大人のドライブトリップは金沢から【LEXUS×VOGUE JAPAN アメイジング エクスペリエンス in 金沢レポートその1】
IGNITE / 2014年10月22日 17時30分
そして美術館での鑑賞を楽しんだ一行が、最後に案内されたのは茶室。
襖が開いた瞬間に息を飲む。そこには樹齢500年の赤松「折鶴の松」を見上げる異空間が広がっていた。とても親密でありながら、おおらかな広がりを感じさせる茶室で、大樋年雄氏による茶会を堪能する。
大樋焼の茶碗でいただくお茶とともに供されたのは、石川県出身のパティシエ辻口博啓氏の手によるオリジナルスィーツ『Grue Ohi』。お茶や和に多分に寄せて作られたものかと思いきや、とんでもない。もちろん和のエッセンスは取り入れながらも、パイナップルのエキゾチックな香りが官能的で、パティシエ辻口氏の個性と創造性を存分に感じられる。
そして、従来のお茶のイメージを覆される体験はこれにとどまらない。
「フォーマルの中にあるカジュアル、カジュアルの中のフォーマル」。
この日のもてなしと装いについて年雄氏が表現した一節であるが、まさにそんな息づかいと心配りが行き届いていた。彼の装いはシックな草木染めに、英文字のモチーフやTシャツ、ネックレスなど日常の感覚を取り入れたもの。
そしてそのもてなしにも伝統への敬意と、破格とも思えるカジュアル感が絶妙に混在していた。お点前はあくまで折目正しくありながら、描き出される場の空気はどこまでも気さくで寛容なのだ。旅の参加者も、お茶の心得の無い筆者も、それぞれに笑い、膝を崩し、時には写真を撮り合ったり。
一見それは“茶席らしくない”一席だったかもしれない。しかしやはり茶人の演出する本質的な茶の湯の体験であったように思う。
会の最後には第十代大樋長左衛門氏による挨拶も。文化勲章受章の当代は、意外なほど飄々とした洒脱な語り口で一座を沸かせた。
茶陶を知るために何が大切かというと、やはり「お茶を飲む」ことなのだな……と、感慨を新たに大樋美術館をあとにする。
ここからは、参加グループがそれぞれ希望のLEXUS車両を各自で運転するドライブトリップとなる。
一路向かうのは『乙女寿司』。百万石の城下町でいま一番の注目を集める寿司店だ。
【その2につづく】
(くぼきひろこ)
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