リアル・マイケルジャクソン [Vol.34]_1996年HISTORYツアーin福岡_クリスマスの記念撮影。 ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話~
インフォシーク / 2013年4月25日 17時30分
メリークリスマス!
マイケルが日本にやってきて、ちょうど2週間、世間はクリスマスを迎えていた。今日はコンサートの予定がないため、ツアースタッフも朝からどこかのんびりモードだ。
(マイケルは、どんな風にクリスマスを過ごすんだろう?)
なんとなく、今日、マイケルは出かけないような気がした。(前回のDANGEROUSツアーがそうだった)それに、昨晩思いがけずマイケルに遭遇できたことで、わたしたちはすっかり「おっかけ小休止」のモードに入っていた。
いつもなら、ホテルのロビーでマイケルが出かけるのを何時間でも待つわたしたちであるが、この日は仲良くなったツアースタッフと集まって、クリスマス会を楽しむことにした。
なにしろそこにいる面々は、わたしたちに勝るとも劣らぬ「マイケル好き」ばかりだ!
近しいスタッフならではのマイケル話やツアーの裏話に、わたしたちは大いに盛り上がった!
そのとき、一人のスタッフが、「みんなでマイケル流のピローウォーをやろう!」と言い出した。専用ジェット機で移動するとき、マイケルがみんなに声をかけて、よく枕投げをするんだそうだ。
「マイケルと枕投げ!」
以前、パイ投げ合戦で顔中クリームだらけにして爆笑しているマイケルの映像を見たことがある。やっぱりマイケルって、そういう遊びが好きなんだ。
そんなわけで、クリスマスの午後、唐突に「ピローウォー」がはじまった!
日本では、修学旅行などで定番の枕投げであるが、せいぜい相手に向かって枕を放り投げ、拾ってはまたぶつける、そんな程度ではないだろうか。
マイケル流のピローウォーは違った!枕を投げて相手にぶつけるのではなく、枕をつかんだまま思い切り相手をブン殴るのだ!
(ひえ~~ちょっとは遠慮しないのか??)
わたしたちはバカスカ枕でたたかれ、勢いあまって頭から壁に激突した。だめだ、反撃しないと一方的に殴られる!負けじと相手をたたき返し、全力で枕をふりまわし、それが異様におかしくなってきて、わたしたちはお腹がよじれるほど大笑いした。
長いツアーの退屈な移動の中で、マイケルが大はしゃぎしながらピローウォーに興じる様子が想像できた。そして、そんな風に気分転換できるスタッフに囲まれていることに、ちょっとだけ安心した。(ちなみに、一番強いのはマイケルだ!と、みんな口を揃えて言っていた)
その後、みんなと別れたわたしたちは、小腹がすいてコンビニまで出かけることにした。
土地勘がないため、適当にホテルの横の出口を出て外に歩いていく。あたりは暗く、すっかり夜だ!でも、さすがに福岡、東京の夜に比べてずっと暖かい。ホテルの朝食で出てくる明太子も美味しいし、福岡っていいところだなあ~。
などと思いつつ道路に出ると、ホテルの中からイヤホンをつけた関係者が出てきた。
むむ?なんだなんだ?すると、遥か前方から数台の車がこちらに向かって走ってくるのが見えた。先頭を走る車は、チカチカとライトが点灯し、怪しさは満点だ!
「…あれって、もしかして、マイケルのバンじゃない?」
わたしたちは、大急ぎで引き返し、いま出てきたばかりのホテルの出口前に戻る!すると、あっという間に先導車とバンがやってきて、わたしたちの目の前に止まり、中から警備員と関係者、ウェイン、そしてマイケルが降りてきた!
またしても・・・なんというドンピシャリなタイミング!!
「マイコー!」「キャー!」
叫び声で前方をみると、数メートル先の正面玄関にロープが貼られ、そこには警備員と大勢のファンがいた!ひゃ~、全然気がつかなかった(汗)マイケルは、わたしたちの予想に反して映画を観に出かけており、それを知らないわたしたちは、うっかりロープの内側を歩いていたのだ。
「あ、ガールズだ!」
マイケルはわたしたちをみて立ち止まる。おもむろに「シェイクハンドプリーズ!」と叫ぶと、ウェインや日本の警備スタッフが揃ってずっこけるのがわかる。その一言で場が和み、わたしたちはマイケルに歩み寄ってハグや握手をすることができた。
ワールドおっかけが進むにつれて、わたしたちは、いろんな場面で自主的に「空気」を読んできた。日本に到着してからは、チャンスはあっても、マイケルにサインも写真も求めなかった。
でも、今日はクリスマスだ!思いきって、わたしたちはマイケルに言った。
「マイコー、いっしょに写真を撮ってもいい?」
「オーケー、中で撮ろう!」とマイケルは言い、わたしたちをVIPルームのような場所に誘導してくれた。
マイケル本人がOKしたら、もちろん警備員や関係者はなにも言わない。いっしょに中に入り、そこで一人ずつマイケルと写真を撮ることになった。
マイケルはものすごくゴキゲンで、写真を撮る間中、優しい声で話しながら笑っていた。わたしが履いていたBAD風のハードなブーツをみて、「ナイスシューズ!」と褒めてくれたりもした。
わたしはパースでの後悔を思いだし、(今回は泣かないで写真を撮るんだ)と頑張った!マイケルの肩に手をまわし、思わず両腕でギュッと抱え込む。
ステージから降りたマイケルは、不思議なことに、やっぱり華奢な印象が強かった。いま飛びつけば、簡単に倒れちゃいそうだ!(実際には、きっと倒れないんだろうけど)
写真を撮り終わっても、まだまだわたしたちは、マイケルといっしょに居たかった。でも、何人もの関係者が、待ち構えたようにマイケルを取り囲んで連れていく。
ああ、マイケルって、本当にスーパースターなんだなあ…
いつか時間を気にせずに、ゆっくりマイケルと話せる日が来るだろうか。
別れ際、わたしたちは、「マイコー、メリークリスマス!」と声をかけた。
マイケルも、「バ~イ!」と手をふって応えてくれた。
わたしたちは、マイケルの後ろ姿を見送りながら、クリスマスの夜に起きた小さな奇跡に感謝した。(2日後の夜、マイケルはこのときの写真にサインをしてくれた)
翌日は、いよいよ福岡でのコンサート初日!
チケットを持っていないわたしたちに、思いがけない「助け手」が現れた。
【バックナンバー】リアル・マイケルジャクソン ~おっかけOL3人組とマイケルの交流実話

コピーライター。87年来日時にマイケルのファンとなり、OL時代、同じくOLの友人とともに世界中を追いかける。96年HISTORY TOURを機に、3人は「D-PARTY」(ファミリーの意)と呼ばれ、世界各地でマイケルに会えるようになる。追悼式から3年を経て当時のエピソードを公開。
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