東京人は初対面に照れる ~1分でわかる大阪人の言い分~

インフォシーク / 2013年9月4日 17時30分

大阪・梅田

大阪のオバハンの話。

某有名デパートの婦人服売場で販売スタッフとして勤務する友人から聞いた話だ。

そのフロアは中高齢の女性をコアターゲットにしている。つまりコテコテな大阪のオバハンの密集地帯だ。

たびたび顔を出される30代後半のお金を持ってそうなある上客は、その日もフンフンと鼻歌交じりにショッピングを楽しんでいたらしい。

上下数点を抱え「試着いいですか?」と友人のもとへ来たとき、大阪らしい事件が起きた。

上客の表情を見る限り知り合いではなさそうな、オバハンというかオバアチャンが試着室に突然割り込んできたのだ。

「私な、80までアパレルやっててんけど、こんなええもんないで!アンタも買うとき!」と、つばのどでかい帽子を乗客に差し出したのだという。

すると上客の行動は早かった。「ほんま?」と試着したての格好のままポンと頭に乗っけたのだ。

「いやぁ~!アンタ、むっちゃ似合ってるで~!」

過剰に褒めるオバアチャン。

友人は「ちょっとちょっと、なにやってんの!ワケわからん!」と声も出せず狼狽えたそうだが、結果的に42,000円の帽子ごとお買い上げ。

そして上客が財布を開けたのを見届けたオバアチャンは「若いってええな!なにしても似合う!」と褒めちぎりその場を去って行った。

くるくるパーマで金ピカメガネのオバアチャンは名セールスレディとして活躍したのだ。

この一件に限らず、物色中の客や試着している客に突然割り込んでくる客は少なくないらしい。

「ちょっと着てみたらええやん」
「それ、どこにあったん?」
「よう似合(にお)てんで」
「いやっ!若(わこ)う見えるわ~」

フロアの所々から聞こえる会話は友達なのか家族なのか、他人なのか見分けがつかないそうだ。

面倒臭くないのか?と聞くと友人は「そういう人がおるから売れる」と言う。客同士が小競り合いになることもまずないらしい。

大阪のオバハンはうるさい。デパートに限らず、喫茶店、電車内、コンビニなどどんな場所でも言いたいことがあったら即割り込み話しかけてくる傾向がある。

先日、「兄ちゃん、アメちゃん舐める?顔疲れてるやさかい甘いモン食べとかなアカンで!」と順番を待つ病院の待合室で声をかけられたことを思い出したが、そんなシチュエーションは珍しくない。

「おい店の人しっかり取り締まれよ」と過剰なオバハンに面倒臭さを感じたが、友人の話を聞く限りうるさいオバハンが経済を回しているようだし、オバハンどうしのネットワークが出来ている環境は平和な社会が形成されていると思えば貴重な存在だ。

では、最近東京で遭遇したオバサンの話に変えよう。

場所は新宿駅東口を出てアルタ前を通り過ぎ伊勢丹より手前に構える、とある書店。

樋口毅宏が最近出した文庫と新書を探していると、シュッとした小綺麗なオバサンが困っていた。

どう見てもトトト、ツーツーツー、トトトとSOS音を出して歩いているというのに東京人は誰一人として助けない。

マーダー顔した冷たい奴等めと半ば苛立ちながら「どうされました?」と尋ねると見事に無視された。

オバサンが一番冷たかった。ロボットのような動きで去って行かれた。大阪のオバアチャンの話を聞いたすぐ後だったせいかサービス精神が過剰になっていたのは否めないが、私には感情がある。腹が立った。

高齢者を大切にしようと思っても、困っている東京の高齢者は冷めた人ばかり。

「困ったことがあっても誰かの助けを借りるなぞ高齢者のすること。みっともない」とでも思っているかのようだ。

世の中高齢化まっしぐらなのだから、東京人の年配はいい加減大阪弁に抵抗を感じたり初対面に照れたりせず、大阪のオバハンを見習ってみても良いのでは?

そういえば「かわいいおばあちゃんになるのが夢」と言う東京女子はいても、「おもしろいおばあちゃんになるのが夢」は聞いたことがない。

おしゃべり好きな大阪女子は“ナチュラル・ボーン・大阪のオバハン予備軍”なのでわざわざ宣言する必要はないが、おもしろいおばあちゃんを目標に掲げる東京人が増えたら、東京は老若男女問わずコミュニケーションが頻繁になり平和になることだろうに。

鹿タカシ
しかたかし ライター・コピーライター・歌い手(バンド活動休止中)。大阪生まれ。大阪芸術大学にて写真を専攻した後に上京しなぜかコピーライターとなって約10年。現在は都内広告プロダクションに勤務しながら、大阪人からみた東京、また東京在住の人からみた大阪人について研究。

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