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ロックフェラー家当主も推進するブルーシーフードが救う 海洋大国ニッポンの課題

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月13日 13時4分

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ロックフェラー・キャピタルマネジメント取締役のデイビッド・ロックフェラー・ジュニア氏

 さまざまな日本企業が取り組みを進めている「SDGs」。国連が掲げる持続可能な開発目標の達成を目指すことによって21世紀のさらなる発展に期待する取り組みで、その多くを環境への配慮が占めている。

 全17の目標の中で、世界でも6位の海洋面積を持つ日本として特に無視できない項目が14番目の「海の豊かさを守ろう」だ。持続可能な開発のために海洋環境・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用することを目標に掲げている。国内でも2018年に漁業法が70年ぶりに改正され、水産資源管理の考え方を大幅に革新した。

 この目標のもとに、セイラーズフォーザシー日本支局(SFSJ)が進めているのが「ブルーシーフード」だ。ブルーシーフードとはサステナブルな魚介類、つまり(1)資源量が比較的豊富な魚種で、(2)生態系を守りつつ、(3)管理体制の整った漁業による魚種を指定し、「積極的に食べよう」と推奨する魚のことを指す。ポジティブ・キャンペーンによって、激減した魚の資源を回復させることに着目しているのが特徴だ。

 捕鯨などのように、ある魚種の漁獲高が減ったから一律に漁獲を禁じるようなものではない。あくまで持続可能な水産物を優先的に消費することにより、 日本の漁業を支援しながら枯渇した水産資源の回復を促進するという考え方に基づいている。国連食糧農業機関(FAO)の「責任ある漁業のための行動規範」を原則として、科学的に定めた独自のメソドロジーに基づき、持続可能な水産物を選択しているのだ。

 例えば、太平洋クロマグロは過去50年で97.4%も漁獲量が減少したものの、厳しい資源管理の結果、短期間で資源量が増えてきたことで絶滅危惧種からは外れた。ウナギは絶滅危惧種に指定されていて、その希少性から違法取引も横行している状態だ。水産庁によると、食用として獲り続けられる資源量が豊かな魚種は、全体のわずか24%にすぎないという。

 そう考えると、クロマグロもウナギも地球環境のために食べるのをやめるべきだと思いがちだ。だが、ブルーシーフードの考え方ではそうではない。ブルーシーフードをリストにしてまとめた「ブルーシーフードガイド」では、太平洋クロマグロはリストに入っていないものの、「大西洋」クロマグロはリストに入っており、持続可能な漁業による北大西洋クロマグロでMSC認証(水産資源や環境に配慮し、適切に管理された持続可能な漁業に関する認証)を取得したものは、ブルーシーフードとして奨励しているのだ。

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