フリーランスへの発注ルールが変わる 24年秋施行の新法を解説
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月19日 7時0分
フリーランス新法の概要や、企業が取るべき対応を解説する(提供:ゲッティイメージズ)
2023年4月28日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、いわゆるフリーランス新法の法案が可決され、5月12日に交付された。公布から1年6カ月を超えない範囲内で施行されるということなので、2024年秋ころの施行が見込まれている。
フリーランス新法は、どのような背景で生まれたのだろうか。また、施行により業務を発注する企業、それを受けるフリーランスにどのような影響があるのだろうか。気を付けるべきポイントや罰則の有無は?
フリーランス新法の概要を、ランサーズ 取締役 曽根秀晶COOの解説を交えながら紹介する。
●【なぜできたのか?】フリーランス新法が誕生した背景
フリーランス新法の目的は「特定受託事業者に係る取引の適正化」および「特定受託業務従事者の就業環境の整備」だ。なぜ今になってそのような法律が生まれたのだろうか。
曽根氏は「この10年ほどで、フリーランスの総数は1.6~1.7倍に増えた」と見ている。国の統計で分かる範囲だけではなく、会社員として働きながら副業でフリーランスとしても働く人などを含め、独自に算出したものだ。
「21年の段階で、労働人口6500万人ほどに対し、フリーランスは1500万人。4人に1人がフリーランスという働き方をしていることになる。また、フリーランスへの報酬も20兆円以上となっており、経済規模的に見過ごせない状況になってきたというのが、背景の一つにあると思う」(曽根氏)
人口も取引額も増えてきたことから、摩擦やトラブルも見られるようになってきた。「労働力として重みを増してくるフリーランスを、企業が正しく適切に活用していく仕組みを国が作っていかなければならない。フリーランス新法は、そのような背景から生まれた」(曽根氏)
●【対象範囲はどこまでか?】新法の保護対象「特定受託事業者」とは
フリーランス新法の目的や概要を紹介する前に、保護対象となっている特定受託事業者について簡単に触れておきたい。
「フリーランス新法」「フリーランス保護法」と呼ばれることが多い新法。本稿でも「フリーランス新法」と表記しているが、実はこの新法の条項内に“フリーランス”という語は一切出てこない。「特定受託事業者」のことを分かりやすくフリーランスとしているだけなのだ。
この特定受託事業者とは、従業員を使用しておらず、かつ受託業務を行う事業者を指す。代表者以外に役員や従業員がいなければ、法人も特定受託事業者に含まれる。
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