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住友商事「学生が面接官を評価」 “選ぶ者”と“選ばれる者”の力関係が変わるワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月26日 8時15分

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会社と求職者の力関係にどんな変化が起きているのか。写真はイメージ(ゲッティイメージズ)

 「面接で落とされた」「なかなか採用してもらえない」――。求職者が希望の求人に応募しても、採用されるとは限りません。合否を出すのはあくまで会社側だからです。

 会社と求職者の間には“選ぶ者”と“選ばれる者”という絶対的な力関係が生じると考えられます。ところが、日本経済新聞は2024年3月11日「住友商事、就活学生が面接官評価」と題し、新卒採用で学生が面接官を評価する制度を導入する取り組みについて報じました。

 記事では制度を導入する理由として、就活生向けの口コミサイトに書き込まれる面接内容や感想などが会社のイメージに影響を及ぼすことを挙げています。個人が発信力を持つようになった社会の変化が、会社と求職者の間に働いていた力学を変えつつあるようです。

 いまは少子化が進み、学生優位の「売り手市場」でもあります。社会の変化や労働市場の変化が折り重なり合うように進む中、会社と求職者の力関係や人事の役割にはどのような変化が起きているのでしょうか。

●条件によって変わる「会社と求職者」の力関係

 厚生労働省の一般職業紹介状況によると、有効求人倍率は2013年11月以降、10年以上に渡って1倍を下回ったことがありません。つまり、求職者の数より求人の数の方が上回っている状態です。コロナ禍で最もへこんだ時でさえ、1.04倍と求人の方が多い状態をキープしました。

 しかし、正社員だけの有効求人倍率を見るとやや様相が異なります。コロナ禍の最中は0.78倍にまで落ち込み、求職者数の方が多くなりました。1.00倍まで回復したのは22年7月で、その後は求職者数と求人数がほぼイーブンの状態が続いています。

 職種ごとに見てみると以下グラフのように、かなりバラツキがあることが分かります。23年のデータを見ると、一般事務従事者が0.37倍と求職者1人につき0.37件しか求人がないのに対し、清掃従事者は1.75倍、営業職業従事者は2.11倍と求人数が求職者数を大きく上回り、介護サービス職業従事者は3.78倍と一般事務の10倍の比率になっています。

 全体の有効求人倍率が1倍を超えていたとしても、雇用形態や業種、職種など個々の求職者が望む条件次第で実情は全く異なるのです。新卒採用でも、企業規模によって差が顕著に表れています。

 リクルートワークス研究所の調査によると、24年3月卒業予定の大卒および大学院卒求人倍率は1.71倍。しかし、企業規模別にみると5000人以上では0.41倍と、求職者1人につき0.41件しか求人がありません。それが1000~4999人だと1.14倍と、求人数の方が多くなります。300~999人も1.14倍、300人未満だとさらに大きく跳ね上がり6.19倍です。

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