1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「事故を起こさせない」保険の正体 事故発生率を18%低減する、あいおいニッセイの試み

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月22日 8時15分

 こうした積極展開の成果もあり、同社のテレマティクス自動車保険の契約件数は右肩上がりで伸長し、23年2月時点で186万台を突破。全体の契約件数約1000万台のうち、約20%がテレマティクス自動車保険という計算だ。中期的には300万契約の達成を目指す。

 ただ、この目標達成のためには、まだ課題もある。自動車保険部 テレマティクス開発グループの中村惇史課長補佐は「テレマティクス自動車保険の本質的価値をお客さまや代理店の皆さまにご理解いただくことが重要」と指摘する。

 アンケートによれば、追加の特約保険料を懸念する声や、位置情報の取得を気にする声も一定数ある。まだ「世のため人のためになる」というテレマティクス自動車保険のコンセプトが浸透しきれていないのが実情だ。

●「CSV×DX」戦略の背景と狙い

 そもそも同社はなぜ、長い期間をかけてテレマティクス保険に注力してきたのか。

 企業には事業活動を通じて社会課題の解決に取り組むCSV(Creating Shared Value)の実践が求められる一方、デジタル技術を駆使したビジネスモデルの変革、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せている。同社が「CSV×DX」を経営の軸に据えたのは、時代の変化と顧客ニーズの多様化への対応が大きな理由だ。同社、経営企画部企画グループ光田敬輔担当課長はこう語る。

 「かつて保険会社は、顧客との接点が年に1度の更新手続きのみというのが当たり前だった。しかしデジタル技術の急速な進化によって、リアルタイムで客とつながり、事故を未然に防ぐアプローチが可能になった。従来型の"保険金を支払う会社"から"事故を起こさせない会社"へ。私たちはその変革の先頭に立ちたい」

 光田氏は、保険サービスのデジタル化を推進することがCSVにつながっていくという戦略の狙いをこう説明する。

 「契約いただいた顧客の事故防止に役立つだけでなく、蓄積したデータを分析・活用することで、地域の交通安全にも貢献できる。さらには防災や健康増進など、さまざまな社会課題の解決に資する新たなソリューション創出も可能になる。CSV×DXの先に、"保険を社会インフラに進化させる"。それが私たちの目指す姿だ」

●テレマ保険ユーザーは事故発生率が「18%」低い

 テレマティクス開発グループの中村氏は「セーフタウンドライブという考え方を広めていきたい」と意気込む。事故が減れば、ドライバーにとっても保険会社にとっても、そして社会全体にとってもメリットがある。そうしたテレマティクス自動車保険の価値を丁寧に訴求していくことで、さらなる拡大を目指す考えだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください