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なぜ歯磨き粉はミント味? ヒット商品の誕生には「無駄」が必要なワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月26日 8時0分

 さらに、コロナ禍の襲来によりリモートワークという選択肢も増え、気付けば1分の隙間もなく、ぎっしり会議ばかりが埋まっていく。コロナの前は、会議前後の移動時間がわずかな切り替えタイムになっていた気もしますが、それもなくなり、トイレに行く時間もなく、画面オフにしてコッソリごはんを食べる。こんな日常が当たり前になってきました。

 コンテンツも多すぎて、SNSも見ちゃうし、とにかく情報が多い。あー忙しい。隙間がない。息苦しい。そう感じている人も多いのではないでしょうか。

 だから「俺たちの自由を返せ! それには、無駄が必要だ!」と、アンチテーゼを唱えたいわけではありません。私たちが、無駄が必要だと考える理由は、大きく2つあります。

●なぜ歯磨き粉はミント味? ヒット商品には「無駄」がある

 一つは、そもそもこんなギチギチな社会だと新しいクリエイティブなものは生まれにくいという話。

 クリエイティブの4Bというのはご存じでしょうか?

 「Bus・Bed・Bathroom・Bar」の4Bです。これらはアイデアが生まれる場所といわれています。移動中、ベッドの中、風呂場やトイレ、お酒を飲んでいるとき。言われてみればなるほど感がありますよね。

 これらに共通するのは、脳がリラックスしているということ。交感神経よりも副交感神経が優位な状態ですね。ギチギチなスケジュールだと、交感神経ばかり高まって、心拍数がバクバク上がり、目がギンギンになってしまいます。そんなときにクリエイティブなアイデアはなかなか浮かびにくいというわけです。

 ではなぜ、リラックスするといいのでしょうか? どうやら顕在意識と潜在意識に関係しているようです。広告業界で有名なジェームス・W・ヤング氏の著書『アイデアのつくり方』でヤング氏は「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と語っています。うねうねと熟考した(いったん思考の混沌を生むのが大事で、いきなり何かが降ってくるわけではない)あとに全て忘れて潜在意識にゆだねると、新しい組み合わせが生まれるというのです。だから、アイデアを熟成させるべく、リラックスして潜在意識を解放する無駄な時間が必要というわけです。

 もう一つ、私たちが無駄が必要だと考える理由があります。それは、長く売れ続けている商品には一見無駄だけども必要な要素があるのです。

 例えば、歯磨き粉のミント。これは単なる味付けで、歯が美しくなったり、健康にしたりする効果はありません。でも、ミント味になる前は歯磨き粉は全然売れなかったのです。

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