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散々渋ってきたのに……日本企業が「いまさら」賃上げに踏み切ったワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月9日 8時0分

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(提供:ゲッティイメージズ)

 つい先日まで、賃金が上がらないことが社会問題になっていましたが、一転して現在は賃上げ競争とも言うべき状況になってきました。

 図1は連合(日本労働組合総連合会)が集計した、賃上げ率の推移です。2024年分の値は4月2日時点の中間集計値であり、最終集計値ではありませんが、5.24%です。このままで推移すると、1991年以来33年ぶりの大幅な賃上げになりそうです。

●そもそも賃上げとは何か

 賃上げとは一般に、定期昇給による賃金上昇と、ベースアップによる賃金上昇を指します。

 定期昇給とはあらかじめ労働協約(労働組合と会社との間の約束)や就業規則で定めた、賃金表に基づく昇給のことを言います。仮に就業規則で、定期昇給について、成績Aは7000円、Bは5000円、Cは3000円と定めているとします。初任給が20万円であるとしたら、入社後一貫してBの成績で5年経った人は、賃金が22万5000円になります。この昇給は働く人にとって、いわば既得権です。

 これに対してベースアップは、賃金水準を一律に底上げすることを言います。初任給を20万円から21万円に上げる、5年目の賃金を22万5000円から23万5000円に上げるというように、成績にかかわらず一律に(この場合1万円)底上げします。

 この会社の賃金ベースは、一貫してBの成績である場合、ベア前は「賃金=20万+5000×勤続年数」でしたが、ベア後は「賃金=21万+5000×勤続年数」になります。翌年以降もこれが賃金ベースになり、後戻りすることはありません。

 「賃上げ」は定期昇給とベースアップを合わせたもののことを言います。この例では、定期昇給が5000円で、ベアが1万円ですから、賃上げ額は1万5000円になります(図2参照)。

 図3は同じく連合による『2024年春季生活闘争 第3回回答集計結果』(2024年4月2日時点:PDF)による、賃上げの内訳を企業規模別に示したものです。全ての企業規模で、ベースアップ分が賃上げの半分以上を占めています。

 しばしば、小企業は賃上げブームの蚊帳の外に置かれているかのような論調を目にしますが、これは誤りです。「99人以下」でも7270円のベアがなされています。率にすると2.88%であり、24年2月のインフレ率(「生鮮食品を除く総合」の消費者物価指数上昇率)を上回っています。小企業で働く人も、実質賃金(物価上昇率を割り引いた賃金)が上がっています。

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