パチンコだけじゃない! 業界大手マルハンが仕掛ける、次の「意外なドル箱ビジネス」とは?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月20日 6時30分
ところが、最初の緊急事態宣言から1年ほどたったころ、森ビルからオファーが来た。23年秋に新しくオープンする、虎ノ門ヒルズステーションタワーと麻布台ヒルズに出店してくれないかという内容だった。
もともと商業施設には出店しない方針の内山氏だったが「緊急事態で飲食店が営業できなくなったり、外食が社会悪と見られたりするような風潮で、こんなにも前向きに考えられる人たちがいたのか」と驚いたという。そして「こういう人たちと新しい世界観がつくれたら」と、心揺さぶられたとも振り返る。
そこで、虎ノ門ヒルズには新業態の立ち寿司「立ち喰いすし魚河岸 山治」と「鮨 おにかい」シリーズの6店目となる「鮨 おにかい×2」を出店。麻布台ヒルズでは、これまでチャレンジしたことがない高価格帯の魚居酒屋を出店してほしいと依頼があった。MUGENは炉端のブランド「なかめのてっぺん」を7店展開し、高価格帯の寿司「鮨 つきうだ」も成功を収めている。そのため、高価格帯の大人が使える海鮮メインの居酒屋もできるだろう、と森ビルがは考えたようだ。
内山氏は「自ら店に入ってイチから業態づくりにかかわればできないこともないが、それを実行してしまうと会社が崩壊するのではないか」と案じたという。そこで、自分の考え方に共感し、株を共同保有して経営を支えてくれるようなパートナーはいないかと、リスクヘッジのためのM&Aを考えるようになった。
MUGENはチェーン店ではなく、さまざまな複数の業態で27店(グループ店を合わせれば29店)を展開しており、上場して資金の調達は向かないと、内山氏は判断した。
「MUGENの大切にしてきた経営理念に共感して、一緒になって考えてサポートしてくれる」。そんな都合の良いパートナーが現われるのかと、内山氏はあまり期待していなかった。ところが、実際には3社がM&Aを希望してきた。
●気鋭の飲食企業がマルハンとタッグを組んだワケ
そのうち最も前向きだった、マルハン北日本カンパニーを選んだ。
1年ほど双方の検討期間があり、内山氏は韓俊氏の太平洋クラブを復活させた手腕や人間力、会社を生まれ変わらせようと構想しているビジョンに共感を覚えた。さらに、幹部社員で経営企画、新規の観光事業などに携わっている人たちがみな、パチンコホールの現場で成長を遂げてきた集団で、現場を重視する姿勢にも、親近感が湧いたという。
「50歳を迎えて新しいチャレンジに取り組むモチベーションを持てた」と内山氏は振り返る。
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