「F1への技術提供」の舞台裏 「5000億円の収益」を支えるレノボのITインフラとは?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月15日 13時8分
2023年カナダグランプリ(Mario Renzi - F1)
自動車レースの最高峰「F1(フォーミュラワン)」。テレビやインターネット、サーキットでの観戦者は、2022年で累計15億人を超える巨大コンテンツだ。
フォーミュラワン・グループの23年の収益は日本円換算で5000億円に迫り、1レースあたりのデータ転送量は500TBに上る。ビジネス的な大きさに加え、高度なテクノロジーやエンジニアリングを必要とする競技であり、レースカーや関連するシステムの開発に革新的なアプローチが求められる。
このF1のITインフラを支え、培ってきた技術と経験を提供しているのがLenovo(レノボ)だ。22年からF1の公式パートナーとなっている。
レノボはF1でどんな活動をしているのか。世界最高峰のレースをいかにして支援しているのか。レノボ・ジャパンの檜山太郎社長と、F1の担当者に取材した。
●投資先、マーケティングツールとして魅力的なF1
フォーミュラワン・グループの23年通期の総収益は32億2200万ドル(4月19日現在、約4983億円)で、22年の25億7300万ドル(約3979億円)と比べて25%近く増加した。22年も21年比で20%増だったことを考えると、成長が著しい。営業利益も22年の2億3900万ドル(369億円)から23年は3億9200万ドル(約606億円)と64%増で、大幅な増収増益だ。参戦した全10チームに向けた分配金は12億1500万ドル(約1874億円)に上る。
F1は欧州発祥ということもあり、もともと欧州に多くのファンがいた。一方で独自の自動車文化を形成する米国での人気はそこまで高いものではなかったともいえる。それが近年、米Netflix(ネットフリックス)によるF1のドキュメンタリー『Formula 1:栄光のグランプリ』の影響によってF1ブームが到来。世界最大の市場での人気の高まりはF1の収益向上にも貢献している。
日本ではバブル期にF1ブームが起こった。それが今や無料地上波放送がなくなり、「フジテレビNEXT ライブ・プレミアム」とDAZNによる有料放送のみに。それでも4月に鈴鹿で開催された日本GPでは、3日間で約23万人を動員した。単純計算で1日あたりの来場者は7万人強となる。鈴鹿サーキットの収容人数が他のスポーツのスタジアムより大きいという面を考慮しても、これほどの観客を集められるスポーツコンテンツはあまりない。
F1に投資する理由をレノボ・ジャパンの檜山太郎社長に聞くと「F1は180カ国・地域で視聴でき、レノボがビジネスを展開している地域と重なるからです」と話す。もちろん、日本はレノボにとって注力するべき重要な市場だ。
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