『キャプテン翼』が連載終了 その功績と“機会損失”を振り返る
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月25日 8時5分
それを示す数字がJFA(日本サッカー協会)の第3種(中学年代)、第4種(12歳未満)の登録者数にある。1980年の約14万人から、1986年には約40万人へと急増しているのだ。
JFAの登録者のみでこの数であり、学校や公園でサッカーで遊ぶ子どもはこの数倍に上っただろう。当然、サッカー人口が増えた要因には協会や日本サッカーリーグ所属企業、各地で行われたサッカー教室の努力も含まれるが、全国で放送された『キャプテン翼』がマーケティングにおける認知・興味・関心に多大な影響を与えたことは疑う余地がない。事実、1990年代後半から2000年代に活躍した多くのプロサッカー選手が、幼少期に『キャプテン翼』を見てサッカーを始めたことやプレイスタイルを真似たことを語っている。
●欧州トップ選手も影響を受けた
加えて『キャプテン翼』は、日本国内だけでなく、サッカー強豪国を含むさまざまな国・地域で人気を博した。ここでも『ドラゴンボール』と同様、エンターテインメントに特化したことと、日本とは異なる形で普及していたサッカーに関する作品であったことが子どもたちの心をつかんだ。スポーツを題材にした健全なテーマは「親が安心して見せられるコンテンツ」のポジションを確立したとも考えられる。
欧州のトップレベルの選手にも『キャプテン翼』ファンは少なくない。元スペイン代表のアンドレス・イニエスタ、フェルナンド・トーレス、元イタリア代表のアレサンドロ・デル・ピエロ、フランチェスコ・トッティ、ジェンナーロ・ガットゥーゾらが、幼少期にテレビアニメで『キャプテン翼』を鑑賞し、影響を受けたことを語っている。
ここまで浸透した背景には、主人公の大空翼をはじめとしたキャラクターの名前が各国の文化に合わせて最低限のローカライズがなされたこともあるだろう。『キャプテン翼』の題名は、スペインでは「Oliver y Benji」、イタリアでは「Holly e Benji」など、各言語で呼びやすい名前へ変更して放送された。
●『キャプテン翼』の「機会損失」
ローカライズについて特筆するべきはアラブ圏での放送である。放送された1988年当時は「Captain Majid」と名前を変え、舞台が日本からアラブ圏に変更された。以前の連載でも触れたが、多くの場合、アラブ圏での放送は文化・宗教の面から非常に難しいローカライズが求められる。しかし、こと『キャプテン翼』については現地でも自然に行われているサッカーがテーマであり、放送の大部分がサッカーの試合である。そのため文化・宗教面でのハレーションはほぼ生じず、アラブ圏で「安心して子供に見せられるコンテンツ」という、まれなポジションを獲得した。
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