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これからのエンジン開発、どうなる?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月6日 8時22分

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未来のエンジンはどうなるのか

 猫も杓子もEVシフトというブームも終わり、ようやく地に足がついたEVの着実な進歩が認められる時代になった感がある。なんでもかんでも「破壊的イノベーション」という流行り言葉になぞらえて、やれ急激なEVシフトだの、内燃機関の終わりだのと言っていたことがどうも現実的ではないということが、世の中の標準認識になりつつある。

 別にEVシフトはこれで終わるわけではなく、おそらくは2035年に向けて、シェアで最大30%程度まではゆっくり地道に進んでいく。EVを快適に使うには自宅に普通充電器があることが必須。もしくは勤務先かどこか、常用するパーキングに長時間占有できる普通充電器があることが条件になる。

 これは今のバッテリーと急速充電器では、80%までしか充電できないからだ。100%まで充電するには普通充電器で時間をかけてゆっくり入れるしかないし、となれば、その充電器は他に誰とも共有しない占有可能な充電器でなければならない。常に共有の急速充電器しか使えないと高価で希少な原材料を多量に使ったバッテリーの20%を死蔵することになってしまう。

 ユーザーにとっては航続距離の20%減少という看過できないデメリットなので、おそらくは賃貸住まい、あるいは月極駐車場を利用する人たちのほとんどはEVユーザーにはなれない。総務省統計局の調査では、2018年の戸建て比率は全国平均で53.6%。その戸建てだって敷地内に駐車場があるとは限らない。まあざっくり半分。残る半分の人は、標準的賃貸住宅の電源設備が大幅に更新されるまではEVユーザーになれる可能性がほとんどないことになる。

●BEVユーザーになれない残り70%の選択肢

 かなり好意的に見て、母数約54%の中で半分強に当たる30%を、普及の最大値と考えている。「それは日本の場合だけ」という人も出てきそうだが、欧州の方が賃貸は多いし、地震がない分物件が古い。築100年は全く珍しくないので、後から特別に改善していない限り、電源は相応に脆弱(ぜいじゃく)だろう。

 ドイツの場合、日本で言う戸建ては40%ほど。二戸ひとつながりが20%。それ以上の集合住宅が20%、米国は1日当たりの走行距離が長いなど、それぞれ事情は違えど、現状のBEVは、ユーザーがストレスなく使える性能に至っていないのはほぼ同様である。

 BEVの普及率が最大で30%と仮定を置くと、残る70%の人はどうなるのか。移動の自由が戸建てに住める人のみに与えられるという構造はどう考えてもよろしくない。「戸建ても持てないヤツは移動の自由など諦めろ」と正面切っていえる人もまずいまい。

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