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建築業界「休めない、人手が足りない」 2024年問題を“さらなる苦境”にしないためには

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月30日 7時0分

●どう事業を回していくか知恵をしぼる

 帝国データバンクの2024年1月調査によると、正社員の人手不足企業の割合は52.6%と過去最高水準に肉薄しており、「2024年問題」に直面している建設、物流、医療業界では人手不足割合は約7割にまで達している。

 少子化がさらなる進展をしている以上、この傾向は今後も変化しないどころか、人手不足はあらゆる業界で顕在化していくことだろう。

 今後は「人手が足りないから採用する」という手法に頼ることはより困難となるため、「人手がいない中でどう事業を回していくか知恵をしぼる」という方向にいかにリソースを投入できるかがカギとなるだろう。

 これまでの「働き方改革」の文脈では、個別企業の努力によってITやシステム、機械化を進めて、極力少ない人手で売上や利益を最大化することに注力してきた。今後は国を挙げて、人手不足という難関に立ち向かっていかねばならない。

●具体的な「2つの手段」

 その手段の一つは過酷な条件を強要するあまり、結果的に劣悪な労働環境が生まれる元凶となってしまう発注者への「ペナルティ強化」だ。運送業でも建設業でも、発注者側が適切な納期や業務量を考慮せず、無理なスケジュール、無理な業務量を強要することで下請け企業がシワ寄せを受ける構造になっているケースが多い。

 例えば運送業であれば、荷主が過積載となることを認識しながら運送を要求した場合、道路交通法に基づき罰則を受ける。これと同様に、運送業者に法定時間を上回る残業を強いるようなスケジュールを要求したり、時間短縮を要求するのに高速代を負担しなかったりする荷主に対してペナルティをつけることも一考に値しよう。

 同じように、建設業の場合は、建築の確認申請の中に適正工期の審査を導入するなどの監視体制強化が必要ではないだろうか。

 もう一つは「適正値上げ」を国民全体の合意として歓迎するムードを醸成することだ。法律改正によって各業界の労働環境が改善されることは望ましい反面、労働時間減少が収入源に直結することがネガティブ要因ともなり得る。「働きやすくなったが給料は少ない」となると業界自体の魅力もなくなり、さらなる人手不足へと負のスパイラルが発生することにもなりかねない。

 さらには、残業が厳格に管理されている以上、稼ぎたい人は副業やかけ持ちを始め、結局長時間労働が温存されるばかりか、疲労や集中力低下によって事故の危険性も高まるリスクがある。そうなってはまさに本末転倒である。

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