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建築業界「休めない、人手が足りない」 2024年問題を“さらなる苦境”にしないためには

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月30日 7時0分

 長時間労働とされる業種の仕事は、好き好んで長時間労働しているわけではなく、そのとき求められている仕事をきちんとこなそうとした結果、長時間労働になってしまっているのだ。長時間労働抑制のためには、業務量を減らすか、人を増やすかしかない。

 業務量自体は簡単に減らない以上、人を増やすためには人件費が必要であるから、その分が価格転嫁されてしかるべきなのだ。

 残業規制とセットで、発注主には発注金額の底上げと、雇用主には賃上げ、そして全業界で一斉に賃上げと連動した値上げをするくらいの対策が必要だ。

 そもそもわが国では、低価格店であっても高級店並みの接客サービスが当たり前のように行われているし、本来追加料金を徴収しておかしくない配達時間指定や再配達が無料で提供されている。

 われわれは高品質低価格サービスにどっぷり浸かり、悪い意味で慣れきってしまっているのだ。また、シーズン真っ最中の観光地やアミューズメントパークで発生する大行列と大混雑で疲弊したり、人気の新商品に予約注文が殺到して入手できるのが数カ月~数年待ちになり、転売商品に手を出さざるを得なかったりするのも同じような状況といえる。

 単純に考えれば、いずれも「安すぎる」からこそ買い手が殺到するのだ。これらも需要に合わせて柔軟に値上げすれば、待ち時間のイライラ、在庫枯渇による機会損失、本来不要な転売ヤーの増加など、多くの問題を解消することができるはずだ。

 これまではマスコミも、少々の値上げであってもまるで「悪いこと」かのように報道してきたし、われわれ消費者も「値上げするならもう買わない」とばかり、価格上昇に対して強い拒否感を抱いてきた。

 しかし、それでは低価格が維持できるメリットがある反面、「誰かの給料が上がらないまま」「誰かの労働環境が悪いまま」で据え置かれることと同義でもある。

 「『今だけ、自分だけが良ければよい』という考えはよくない」という風潮がようやく生まれ始めてきた今こそ、国と企業が連携し、適正な値上げを実施し、皆が働いた分だけの充分な給料を得られる社会にしていきたい。

(新田龍、働き方改革総合研究所株式会社 代表取締役)

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