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20代でマネジャーに“抜擢”も……あえて「プレイヤーに戻った」 サイボウズ若手の選択

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月4日 7時25分

 また、チームメンバーとの向き合い方や、それを他人に相談しづらいことも悩みだった。「詳しくは言えないが」と前置きしつつ吉原さんは次のように言葉を紡いだ。

 「マネジャーは孤独な感情労働だということを身をもって知った。人の感情と向き合うのはかなりヘビーで、生半可な責任感では耐えられない。当時は相談できる相手が限られていた。就任して3カ月頃には『マネジャーは本当に孤独なポジションだ』と実感させられた」(吉原さん)

 では、当時、吉原さんをマネジャーに抜擢した“上”の人たちはどうしていたのだろうか。「入社5年目の若手がマージャーになるというのは社内でも半分実験的な試みだった。そのこともあり、なにかあったらサポートするという前提があり、そのおかげで全てを一人で片付けなければいけないという状況ではなかった」と吉原さん。

 ただ「メンバーの感情の一次受けをするのは自分。まず、自分が聞く。それでも対応が難しいと思えたら上司を呼ぶ、という体制だったので、最初のステップで経験する感情的な揺れを乗り越える必要があり、それが大変だった」と振り返った。

 チームメンバーのうち、数人の入れ替わりはあったものの、メンバーは終始5人前後で推移していた。このことも吉原さんの悩みのタネとなった。人数が増えないことには業務を拡大できないし、最悪の場合、先細りを招くこととなる。また、もともといたベテランメンバーが起業するなどしてチームを去ってしまったため、チーム内で自分より経験の長いメンバーが少数になってしまい、自分の力量がチームの“天井”に反映されてしまうという懸念もあった。

 ベテランが一定い続ける前提で若手を受け入れていたが、その前提が外れてチーム全体のスキルのバランスが崩れてしまったのだ。「退職決定から退職まで」は当人のタイミングによってはすぐ過ぎてしまうが、一方で「人を増やす意思決定から採用完了まで」には数カ月かかる。その時間差を見誤っていたこともあり、チームの状況に想定とのずれが生じていった。

 「社内でのスカウトや、実力ある人の中途採用も試みたが、経験の短さや年齢の若さから敬遠されているのか、うまくいかなかった。人数が増えないことから、チームメンバーが閉塞感を持っているのではないかと感じることもしばしばあった。心理的安全性を担保した働きやすい環境を作ってきたはずなのに、メンバーのモチベーションが下がっているのではないかと、日々、悶々としていた」(吉原さん)

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