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20代でマネジャーに“抜擢”も……あえて「プレイヤーに戻った」 サイボウズ若手の選択

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月4日 7時25分

 そうこうしているうちに、吉原さんはあることに気が付いた。「マネジャーとしての経験は積めるが、プレイヤーとしてのスキルを伸ばすことができていない。まだ20代なのに、このまま教えてもらう側の立場を放棄して良いのだろうか」。そして、マーケティング本部の組織再編を機に自ら申し出て、吉原さんはマネジャー職を退き、プレイヤーへと戻っていったのだ。

 「志半ばながら自分のためにも、チームのためにも、マネジャーの立場は降りるべきではないかと結論付けた」(吉原さん)

●学びの多かったマネジャー時代──その経験を糧に

 人によってはこれを「敗北」と見るかもしれない。しかし吉原さんも会社もそのような考えは持っていない。マネジャー時代に得た経験がしっかりその後の糧になっているのだ。

 「マネジャーになってみて分かったのが、経営陣から降りてきたざっくりとした要望を、実務レベルにまで落とし込むおぜん立てをマネジャーがしてくれていたんだ、ということ」と吉原さん。「要望に対して具体性を持たせる“企画力”が上がったおかげで、指示や方針に対して、“いい感じに”対応できるようになったと思う」。

 また、マネジャーを経験する前から「できるからやっておこう」と上や横にはみ出て作業していたが、マネジャー職になってから同じような動きをしてくれるメンバーのありがたさを実感し、今後も「はみ出るプレイヤーでいよう」という思いを強めることができた。

 チームのマネジャーに対しては「以前であれば『報告したのになぜすぐに動いてくれないのだろう』と不信感を抱くこともあったが、実は水面下で対応していて、今すぐに情報を出せないだけなのだという背景があることが分かった。マネジャーを信じようという気持ちを持てるようになった」と考えの変化を語った。

 “べき論”を持っていたことについては、理想論としては正しくても、現場への適用は難しいこともあると実感したという。良しとされる打ち手が、自身が直面する現場でそのまま実行できるとも限らない。最悪の場合は逆効果になることもある。

 「口を出さない、手を出さないをモットーにしていたが、あるときチームメンバーから『もっとプレイヤーとしての動きもしてほしい』と言われ、ハッとした」と吉原さん。「現場ごと、チームごとにやり方が違うのだということを実感した。自分の語っていたべき論は地に足のついたものではなかった」と振り返った。

 入社5年目でマネジャー職へとステップアップし、そこから1年7カ月でプレイヤーへと1段降りてしまった吉原さんだが、今後もプレイヤーとして働き続けるのだろうか。

 「プレイヤーもマネジャーも、役割であって階段を昇ったり降りたりという感覚は持っていない。あくまでも視座を上げる機会が与えられたからそれを捉えたにすぎない。得難い機会を与えてもらえたと思っている。

 いったん退いたからといって、それが自分の限界を狭めるとは考えておいない。マネジャー職の経験は、視座を上げるめったにない良い機会だと今でも思っている。だから自分はその機会が与えられればまた前向きに検討すると思うし、若手だとしてもその機会を捉える価値は十分にあると思う」(吉原さん)

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