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ソニー半導体「27歳営業リーダー」の仕事術 なぜストーリー作りを重視するのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月6日 11時34分

 「来店したお客さんは、サイネージ広告をよく見ているようで、われわれはその視聴率データを、分析する会社に提供します。視聴率に応じた適切なコンテンツを検討することができます。広告を流しっぱなしでは終わりません」

●センサーがAI処理

 IMX500は、世界初のAI処理機能を搭載し、2020年5月に商品化されたイメージセンサーで、ソリューションビジネスの武器として小売店舗の在庫検知などで活用する。

 センサーだけでAI処理ができる性能があり、取得した画像の中から必要な情報だけを出力するため、データ処理量を大幅に低減できる。消費電力や通信コストを削減できるメリットがあるという。これまでは、事例ごとにクラウドに上げてAI処理したり、センサーとは別にAI処理するためのコンピュータを準備したりする必要があった。

 IMX500を搭載したAIカメラは「AI処理までしてくれるため、ほかの機器を設置する必要がなく、コストも下げられる。ハードだけでなくソフトも含めたプラットフォームを提供しています」(深山さん)という。

●社内外の調整に必要なのは「ストーリー作り」

 そうはいっても、深山さんは入社して2年しかたっていない若手社員だ。壁にぶち当たることもあった。コンビニ側からの強い要望を、開発部門を説得して作ってもらうのには骨が折れたようだ。それでも深山さんは、シニア社員がほとんどの開発部門を粘り強く口説いた。「諦めが悪いのが強みだ」と、社内ではいわれているという。この2年間を振り返って「社内外の信頼関係の積み重ねが大事だった」と振り返る。

 方々を説得するために大事にしていることが、ストーリー作りだという。「こういう理由があるから作る必要があるのだ」という納得させるためのストーリーが求められているのだ。ただやみくもに「お願いします」というだけでは、相手は動いてくれない。

 現在は50代と30代の社員を率いて、リテール部門のリーダーを任されている。ソニーセミコンダクタソリューションズでは、年齢が上の社員が部下になることはよくあることだという。できる社員は中途、若手に関係なく抜てきする。やらせてみて能力を伸ばそうという社風なのだ。

●データを基に4分野で取り組む

 リテールのほか、物流、製造、シティの4分野でソリューションビジネスに取り組む。いずれも、センサーで集めた情報を基に、アドバイスするデータドリブンの手法を採用。いわゆる残業規制の「2024年問題」の解決を迫られている物流については三井倉庫とタッグを組む。同社の協力を得ながら、トラックのナンバープレート検知ができる物流倉庫での荷物積み下ろし場の作業効率を改善するサービスを開発。2023年11月からサービスを開始した。

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