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カツオが食べられなくなる? 水産資源の「獲りすぎ」防ぐサプライチェーンの最前線

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月10日 6時15分

 ビジネス側でどうやって、水産資源を持続可能な形で、サステナブルに利用していくのか。実際問題として、水産業の母体である漁業資源が枯渇したら、そもそも産業自体が成り立たない。そのことに何よりも危機感を抱き、対応の必要性を感じているのは、他ならない漁業者と水産企業だろう。

 そうした立場の人たちの努力によって2024年2月15日、大きな改善の一歩が踏み出された。日本の漁業会社2社から成るグループが、国内では初となる日本船籍のカツオ・キハダのまき網漁業での「MSC漁業認証」を取得したのである。

●サステナブルなシーフードの証MSC「海のエコラベル」

 MSC(海洋管理協議会)漁業認証とは、サステナブルな漁業の国際認証で、現在世界の550件の漁業がその認証を受けている。

 MSCでは漁獲量や資源量、海洋環境への配慮について国際規格を設けており、各国の漁業ごとに厳しい審査が実施される。資源の乱獲や生態系への影響を緩和するために適切な記録、報告の枠組みがあり、それらが機能しているかを第三者の審査機関が審査・認証する仕組みである。

 また、漁業の認証だけでなく、製造・加工・流通の段階で、認証の水産物と非認証の水産物が混ざらないよう適切に管理することを目的とした「MSC CoC認証」がある。こうした認証取得事業者を通じて販売される水産物には、MSC「海のエコラベル」が付けられて販売される。そのため、店頭でそれを手に取った消費者にも、その魚がサステナブルなものであることが一目で分かるようになっている。

 MSC認証の重要性は、このように漁業の現場から消費者の手元までを審査の対象としてカバーすることで、サプライチェーン全体の管理を可能にし、漁業のサステナビリティを確立する手段の一つになっている点にある。

 企業や漁業者が、それぞれ単独で資源管理や環境配慮に取り組む場合、何をどこまでやればよいのか、またそれをどう認めてもらえばよいのか、判断することが非常に難しい。しかし、第三者の審査機関がこれらを評価し、改善点を指摘し、国際規格を満たした生産や流通に認証というお墨付きを与えるならば、企業側は改善の取り組みが容易になる。

 こうしたエコラベルの利用を伴う認証制度には、天然の水産物を対象とするMSC以外にも以下などがある。それぞれ海洋や森林の自然環境と資源の保全・持続可能な利用の確立につながる制度として、国際的な信頼を獲得している。

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