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効率追求の落とし穴 「レジなし店舗」が見逃しがちな重要ポイントとは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月23日 7時35分

●レジなし店舗利用のハードルが高いワケ

 Amazon Goと後発の類似店舗を比較すると、いくつかの違いが見られます。

 まず、Amazon Goは多くの生活者に使われているネット通販のAmazonアプリ(日本のアプリでも設定を変えると使用可能)を使用するのに対し、類似店舗の多くは展開企業独自のレジなし決済専用アプリを利用します。

 一例として、ダイエーが運営する「イオンフードスタイル横浜西口店」に併設された15坪のコンビニエンスストア「CATCH&GO」も専用アプリを利用します。筆者は5回買い物しましたが、ダイエーとNTTデータがNTTデータ社内の店舗で共同研究してきたこともあり、精度はAmazonのJust Walk Outと大差ない印象です。

 残念なのは、開店から半年経った現在も利用者があまり増えていないように見えることです。この例に限らず、専用アプリをダウンロードして登録してもらうハードルの高さは非常に高いものです。

 Amazonが当初、Amazon Go専用アプリであったものを店舗展開する過程で普通のAmazonアプリで使えるようにしたように、小売チェーンで利用率の高い既存アプリから利用できるようにすると利用率が上がると考えられます。 

 現在、日本で外販が多く行われている無人決済店舗システムの仕組みは、JR東日本スタートアップとサインポストの合弁会社として設立されたTOUCH TO GOが提供する「TTG-SENSE」です。

 この仕組みはアプリそのものを必ずしも必要としないのが特徴です。

 商品を選びとるだけでカウントされて、レジスキャン作業が要らない点は他のサービスと同様ですが、入り口でアプリをかざす必要がありません。一方、最後にセルフレジで交通系ICカードやクレジットカードを使った会計作業があるため、レジなし店舗という括りに入れるのは厳密には異なりますが、スキャンレスであることはAmazon同様です。

 新規にアプリをダウンロードして登録する必要がないので、利用者獲得ハードルが低い一方、同じ人物が別日時に利用しても別人として扱われた購買データしか取得できないため、CRM(顧客関係管理)などを複合することは難しくなります。駅や空港など、不特定多数の人が行き来する場所に向いている仕組みと考えます。

●万引き防止が難しい「無人店舗」のデメリット

 中国では、かつてコンテナを使った無人店舗が流行しました。これらの店舗は、自動販売機に近い仕組みで運営されており、入り口のQRコードを「WeChat Pay」や「Alipay」といった決済サービスで読みとってコンテナのロックを解除し、セルフレジで決済するものでした。

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