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効率追求の落とし穴 「レジなし店舗」が見逃しがちな重要ポイントとは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月23日 7時35分

 コンテナ型無人店舗は、あくまで自動販売機の延長線上にあります。無人店舗には低人件費での運営というメリットがある一方で、デメリットも存在します。例えば、機械トラブルが発生した際の対応の遅れや、顧客が商品について質問したい時に店員がいないことによる不便さなどです。

 また、万引のリスクも無人店舗の大きな課題と言えます。Amazon Goを始めとしたレジなし店舗では、AIやセンサーによる監視で万引を防止できている状態ですが、コンテナ型無人店舗で万引を完全に防ぐことは困難です。

 そのため、コンテナ型無人店舗の後期には、RFID(Radio Frequency Identification:無線周波数識別)タグを全商品に貼り付けて万引を防止する店が出現しました。しかし、タグおよび貼付けのコストで経費が増加するため普及しませんでした。

●レジなし店舗における「人」ならではの強み

 筆者は無人店舗での購買体験をすることで、人の役割の重要性を改めて認識しました。店舗全体が「自動販売機」となるならば、人がいる意味はないと思われがちです。しかし、人がやってきたからには、デジタル化だけでは対応できない理由があるはずです。

 コンテナ型に限らず、無人の店舗は効率性を追求するあまり、顧客との接点を失ってしまう危険性があります。

 Amazon Goを始めとしたレジなし店舗の多くには、店員が配置されており、商品の補充やトラブル対応、そしてフレンドリーな接客を行っています。店員は、AIやセンサーでは対応できない、人ならではの強みを発揮する重要な役割を担っているのです。例えば、商品の場所を尋ねられた際に丁寧に案内したり、商品の特徴を説明したりすることで、顧客満足度を高めています。

 前回取り上げた、Amazonが外販するレジなし決済システム、Just Walk Outテクノロジーを採用した米ニューヨーク・ラガーディア空港のターミナルにある売店WHスミスにおいて、筆者は自身の買い物体験後に店外から観察していました。その時に見かけた光景を紹介します。

 乳母車を押した女性が入店しようとクレジットカードをタッチしていましたが、ゲートが邪魔でうまく入店できませんでした。すると、店内で補充作業をしていた女性従業員が歩み寄り、声をかけました。

 従業員はゲートを手で押さえて、女性が乳母車を押したまま入店できるようにサポートしました。そして、入店後に何か困ったことがあったら声をかけてね、というニュアンスの言葉をかけていました。

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