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令和になっても「パワハラが引き起こす悲しい事件」が減らない、4つの理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月17日 7時15分

 今回のように悪質なパワハラ被害が発覚すると、マスメディアで大きく報道され、読者や視聴者からも強い非難が集中する。法規制が拡充し、職場内でのハラスメントに対する社会的な認識は年々高まり、パワハラへの忌避意識も強くなっているため、ブラック企業問題が騒がれた以前よりはパワハラの発生件数も落ち着きを見せているように思われるかもしれない。

 しかしながら、その印象と実態は大きく異なる。厚生労働省の発表によると、2022年度のパワハラ防止法に基づく「パワハラ相談件数」は5万840件。従前から集計を続けている、個別労働紛争解決促進法に基づく「いじめ・嫌がらせ相談件数」の6万9932件と合わせると実に12万件を超え、前年度比1万1322件増と大幅増加した。

 集計方法が変わったため単純比較はできないが、実質的にパワハラ相談件数は過去最高を記録したといってよいだろう。実際、労働施策総合推進法に基づく是正指導は4.3倍、労働局長による紛争解決の援助の申立受理も3.5倍、優越的言動問題調停会議による調停申請受理も1.9倍と、パワハラにまつわる紛争は急増している状況だ。

 もしかしたら、この紛争件数急増の背景にはパワハラにまつわる問題意識が浸透し、理解が広がった結果「これまで、当たり前のように受けていた『厳しい指導』が、実はパワハラに該当するのだと気づいた」という形で被害が顕在化したケースも含まれているかもしれない。だとすると「パワハラの認知が進み、声を上げやすくなった」という一つの進歩ともとれるが、全体の件数が依然として増加し続けていることは、問題が残っていることの証左に変わりない。

●いまだにパワハラがなくならない理由とは

 これほどまでにパワハラが問題視され、防止措置を義務化する法律まで制定されているにも関わらず、パワハラ被害は減るどころか増加している。では、なぜパワハラはなくならないのだろうか。筆者に寄せられた被害相談やトラブル解決依頼のケースは、大きく4つの理由に分類できる。それぞれについて説明していこう。

(1)加害者、被害者ともに、何がパワハラに該当するのか知らない

 ハラスメントについて教わった機会がなく「そもそもどんな言動や行動がハラスメントに当たるのかを知らない」のであれば、加害者も被害者もいつまでも無自覚のままだろう。

 また、「パワハラ=問題行為」程度までは認識している人が多いだろうが「悪質な場合は刑事罰を受け、損害賠償が発生し、加害者のみならず組織の評判を大きく低下させるリスクがある」というところまではまだまだ自分ごととして認識できていないのではないだろうか。

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