令和になっても「パワハラが引き起こす悲しい事件」が減らない、4つの理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月17日 7時15分
しかし労働基準法違反のように、懲役や罰金といった明確な罰則規定は設けられていない。そのため「是正勧告程度で済むなら……」と軽く捉えられ、パワハラへの抑止力となっていない可能性がある。
この法規および罰則の問題と、被害者が訴え出づらいことが相まって、なかなかパワハラの実態が表に出てこないことにもつながっているようだ。
●パワハラ被害が発生し、表沙汰になった際の「責任とリスク」
あなたが知らないうちに、あなたの会社でもパワハラ被害が発生しているかもしれない。ここで被害者が声を上げ、自社内でパワハラが起きたことが公になった場合、いったい組織はどのようなリスクにさらされるのだろうか。
まず使用者である会社は、「法的責任」と「行政責任」を負うことになる。
不法行為責任
使用者は、労働者が職務遂行中に第三者に損害を与えた場合、使用者責任として損害賠償責任を負う(民法715条)。
債務不履行責任
使用者は労働者の安全に配慮する義務を負っている(労働契約法5条)。パワハラの発生は職場の安全配慮義務に違反したものとして、債務不履行責任(民法415条)を問われる場合がある。
行政責任
パワハラ防止法に則り、事業主が労働局から助言、指導、勧告といった行政指導を受ける可能性がある。
さらにパワハラ加害者は、「刑事責任」と「懲戒リスク」を負う。
刑事責任
加害内容に応じて「傷害罪」(刑法204条)や「暴行罪」(刑法208条)、「脅迫罪」(刑法222条)、「名誉毀損罪」(刑法230条)「侮辱罪」(刑法231条)などが成立する可能性がある。
懲戒リスク
ハラスメント加害者として、就業規則に則って戒告、譴責、訓告、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇などの懲戒処分を受ける可能性がある。少なくとも、組織内で居場所を失うことになりかねない。
これら以外にも、企業活動にネガティブインパクトを与えるリスクは多々存在する。
職場環境悪化リスク
従業員がパワハラ行為を直接受けることによる被害が甚大なのはもちろんだが、周囲のメンバーがパワハラ行為を目の当たりにしたり、組織上層部が事態を解決しようとしなかったりすれば、メンバーは組織のコンプライアンス意識の低さや自浄作用のなさに愛想を尽かし、モチベーションは当然低下する。必然的に作業ミスが増え、生産性も低下、鬱病罹患者や休職者、退職者も増加し、業績にも大きなネガティブインパクトを与えることになるだろう。
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