令和になっても「パワハラが引き起こす悲しい事件」が減らない、4つの理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月17日 7時15分
<参照>厚生労働省におけるパワハラの定義
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為
「たまに厳しい言葉を使うこともあるが、あくまで指導の一環だ! 断じてパワハラではない!」と言い切る人もいるが、それが正当な理由がある叱責の場合であっても「大声で怒鳴りつける」「多数の面前での見せしめ・懲罰的な公開叱責」など、方法を間違えば違法性が生じることを忘れてはいけない。
ちなみに、殴る・蹴るなど身体的な攻撃をした場合、刑事事件として「傷害罪」(刑法204条)や「暴行罪」(刑法208条)が成立する可能性がある。最高刑は懲役15年だ。
言葉だけの場合でも「殺すぞ!」「契約とれるまで帰ってくるな!」「目標未達ならボーナスゼロだ!」といったように相手を畏怖させることを言えば「脅迫罪」(刑法222条)、「前の会社は○○で辞めたくせに!」とか「不倫をバラすぞ!」などと公然と具体的な事実を示して相手の名誉を傷つけたら「名誉毀損罪」(刑法230条)だ。
その場合、事実が嘘か本当であるかは関係ない。そして、事実を示さずとも「バカ!」「給料泥棒!」「ダメ社員!」などと公然と汚い言葉でののしった場合は「侮辱罪」(刑法231条)が該当する可能性がある。
その他にも民事上では「会社が職場環境を整える義務を果たさなかった」ということで「職場環境配慮義務違反」、そして「使用者責任」を問われ、損害賠償を請求されることもあるのだ。
●(2)加害者に、自身の言動や行為がパワハラである旨の自覚がない
組織ぐるみでパワハラをなくそう、予防しようとどれだけ力を入れたところで、そもそも加害者側に「自分はパワハラをしている」という認識も自覚もないのであれば、パワハラを止めようがない。実際のところ、加害者は「相手に嫌がらせしたい」「憎らしい」といった明確な目的意識や悪意をもってやっているケースはさほど多くなく、逆に「無意識のうちに」「悪意なく」ハラスメントが行われているケースのほうが多いのだ。
特に部下を持つ管理職層が加害者の場合「これまで受けてきた指導自体がパワハラ同然であったため、自身の普段の言動・行動がハラスメントであることに気が付かない」「相手の成長のため、良かれと思ってやっている」というケースがあり得るだろう。ハラスメント気質のままで出世してきているということは、「そのやり方でこれまで成果を上げてきた人物なので、加害者の上司や周囲も指摘できない」といったことも考えられる。
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