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「最強連合」に向けてイオンを頼ったツルハ モノ言う株主の指摘は本当に正しいのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月3日 11時20分

 ツルハは2020年より鶴羽樹会長の次男である順氏が、社長に就任。順氏の前に6年間社長を務めていた堀川政司氏は、創業家以外で初の社長だったが、健康上の理由で退任した。現在の取締役を見ると、会長の鶴羽樹氏、社長の鶴羽順氏が鶴羽家。M&A担当の小川久哉氏は、2007年にツルハが買収したくすりの福太郎関係者。ツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本担当の村上正一氏は、これまた2009年にツルハが買収したウェルネス湖北に関係する人物だ。

 つまり、ツルハHDは5人いる取締役(社外を除く)のうち、4人が“創業御三家”出身ということになる。鶴羽家、村上家、小川家のなれ合いで経営を行って、私腹を肥やし、企業価値を損ねていたのではないか――と、オアシス・マネジメントは迫ったわけだ。その意見に賛同する株主も、少なくなかった。

●ツルハが大きく劣後しているわけではない

 ツルハは過去、モノ言う株主に左右されないよう、非上場化が検討されているとの報道があった。その際、自社株を買い取るための6000億円ともされる巨額の借入金を調達するのは、困難と見られていた。

 つまり、ツルハはオアシス・マネジメントに追い詰められてイオンに駆け込み、オアシス・マネジメントとイオンのディールによって、イオンの傘下に入るM&Aを受け入れたと見られる。ツルハがウエルシアを子会社化する“小が大を飲む”異例な形となったのは、イオンがツルハ創業家に配慮したのだろうか。ツルハHDはそれだけ、創業家の影響が強い会社ではあるようだ。

 果たしてツルハの業績は、どうなのか。

 さまざまな見方はあるが、コロナ前の2019年5月期決算は売上高が約7824億円(前期比16.2%増)、経常利益は約433億円(同4.1%増)となっていて、経常利益率は5.5%である。2023年5月期は売上高約9700億円(同5.9%増)、経常利益は約456億円(同14.1%増)、経常利益率は4.7%。売り上げは4年間で約24%伸びている割には、経常利益率が落ちている。しかし、目くじらを立てるほど悪化したと思えない。客観的には、順調に伸びている会社に見える。

 比較対象として、ウエルシアはどうだったのか。2019年2月期の決算は、売上高が約7791億円(同12.1%増)、経常利益が315億円(同1.9%増)で、経常利益率は4.0%であった。2023年2月期は、売上高約1兆1444万円(同11.5%増)、経常利益約521億円(同9.6%増)、経常利益率はおよそ4.6%。経常利益はツルハとほぼ同じか、むしろ低いくらいである。

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