「最強連合」に向けてイオンを頼ったツルハ モノ言う株主の指摘は本当に正しいのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月3日 11時20分
さらに指標を見ていくと、ツルハの同業他社に対する劣後性が明らかになるかもしれないが、これまで業界トップを争ってきたウエルシアに、ファンダメンタルズにおいてさほど見劣りするとは思えないのである。
●ツルハとウエルシア、そん色ないレベルにも見える
会社四季報オンラインによれば、ツルハホールディングスの平均年収は732万円(2023年11月時点)である。国税庁によれば、日本人の給与所得者の1人当たりの年間平均給与は458万円(2022年)なので、平均よりもかなり多い。少なくとも正社員は、低賃金とはいえない。
それに対してウエルシアホールディングスの平均年収は794万円(2023年11月時点)だ。両社の年齢構成など精査が必要ではある。しかし、ウエルシアの方がツルハより、月に5万円ほど多く給料を払っている。ウエルシアはそれだけツルハより還元している、といえるのかもしれない。
IRバンクによれば、ツルハ株の配当金は、2023年が260円で配当利回りは2.88%、2019年は148円で利回りが1.64%だった。このことを考えると、近年は随分と株主への還元が手厚くなっている。一方で、ウエルシア株の配当金は、2023年が32円で配当利回り1.07%、2019年は42円で配当利回り1.06%だった。ツルハは、ウエルシアと比べて高利回りである。株主に対して、ウエルシア以上に配慮して、配当金の支払額がもともと多かったのを、さらに増額させている。
このように検証してみると、ツルハの待遇や株主還元は、批判されるほどのものではなかったのではないか。
【2024年6月4日午前9時、年収に関する表記を一部追記・修正しました】
●オアシスが突き付けた9項目
ただし、オアシス・マネジメントは詳細にツルハの経営を分析して、矛盾点を突いていたようだ。2023年8月に開催したツルハの株主総会で、会長職の廃止やオアシス・マネジメントが提案する社外取締役選任など9項目を要求。それらは全て否決となったが、経営陣を震え上がらせたという。
ツルハ経営陣は、こうしたモノ言う株主の攻勢に耐えきれず、よほど画期的な構想を打ち出さなければ、会社を守れないと考えたのだろう。そこで清水の舞台から飛び降りる覚悟で、イオン・ウエルシアと協議。ウエルシアとの経営統合により、アジアでナンバーワンのドラッグストアを目指すという壮大な目標の下、オアシス・マネジメントとディールする結論に行き着いたのではないだろうか。
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