王者楽天ポイントに迫れるか? 新生Vポイントの“勝算”
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月4日 5時40分
その意味では、KDDIによるローソンのTOBは、リアルな小売業態における経済圏を強化するのが狙い。ローソンの活用がPontaポイントの飛躍につながるかもしれない。
●PayPayと楽天の強み
次に「PayPayポイント」について見ていこう。「QRコード決済のPayPayが圧倒的な顧客基盤を持つ。PayPayを中心に力を入れていく動きになってくる」と吉本氏。コード決済の利用は、PayPayが47.0%と他にダブルスコアを付けて圧倒的だ。このPayPayをスーパーアプリ化し、金融を中心とした各サービスにつなげていくのが基本的な作戦になる。
もう一つ、総合ECサイトにおいて、楽天市場とAmazonの2強に続く3位に「Yahoo!ショッピング」がつけている。最近はヤフー、LINE、PayPayの各種サービスに特典が付く有料サービス「LYPプレミアム」の大規模キャンペーンを行うなど、ECサイトの存在感を高めようとしている。
そして「楽天ポイント」だ。楽天はECとクレジットカードの2つで、圧倒的なシェアを持っているところに最大の強みがある。「楽天市場で買い物するとき、楽天カードを作らないと損。楽天カードを使って楽天ポイントを貯めようという、この黄金法則がしっかりと定着している」と吉本氏も分析する。
さらに業界トップのネット銀行である「楽天銀行」、トップの座をSBI証券と争う「楽天証券」も傘下に持つ。キーとなる経済圏のサービスのほとんどで、トップか2強に位置しているのが楽天の強みだ。
一方で他の経済圏の基盤となっているモバイル通信についてはまだ弱い。4月に契約者が650万人を超えてきた楽天モバイルだが、約9000万契約に達するNTTドコモとは大きな差がある。
●Vポイントの勝算は金融にあり
各経済圏の強みを次のように見てきた。
・dポイント経済圏:モバイル通信、クレジットカード
・Pontaポイント経済圏:モバイル通信
・PayPayポイント経済圏:コード決済、EC
・楽天経済圏:EC、クレジットカード、金融
それぞれが強いサービスを起点に経済圏の拡大を目指していることがよく分かる。ではそんな中で、新生Vポイントの強みと勝算はどこにあるのか。
「新生Vポイントの強みは、やはり金融の部分の強さだ」とMMD研究所の吉本氏は指摘する。運営母体であるSMBCグループは、三井住友カードと三井住友銀行という非常に強い金融サービスを持つ。そして証券では業界トップのSBI証券との連携を強めており、こと金融サービスにおいては楽天経済圏をもしのぐ立ち位置にある。
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