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大量閉店から奇跡の復活 クリスピークリームが「ドーナツ戦争」から勝ち抜けたワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月25日 7時15分

 なかでも、店舗スタッフが開発に参加した「シマエナガ抹茶&あずき」「キタキツネカスタード」はSNSで話題を集め、販売個数制限があるにもかかわらず、午前中に売り切れとなる店舗が続出した。商品開発に参加したスタッフによると、道外から買い求める客も多いとのことで、シマエナガドーナツは販売期間延長や限定復活、リニューアルを経て、2024年5月現在も商品ラインアップに並ぶなど、道民を中心に定着しつつある。

 クリスピークリームは同様の取り組みを東京と名古屋でも打ち出しており、「東京国際フォーラム店」「ジェイアール名古屋タカシマヤ店」でも店舗限定の「クリスピークリームプレミアム」をそれぞれ展開している。

●国内外で成功した「キャビネットスタイル」の販売手法

 米国クリスピークリームは、株式上場前後の1990年代後半からWalmart(ウォルマート)を始めとする米大手スーパー各社との業務提携により店舗網を急速に拡大した。

 設備投資や維持コストが高い工場併設大型店から日本法人同様の小型店への店舗モデル移行や高級ベーカリー買収といった業容拡大にも取り組んだが、健康志向やブーム沈静化を背景に、2000年代には半数超(約240店)の店舗を閉鎖する事態に追い込まれた。

 米国法人が再建の要としたのが、ドーナツの卸売事業だ。

 同社は直営/FCによる従来型店舗による販売手法とは一線を画す、各種小売店に卸したドーナツを特注キャビネットにより委託販売する方式を新たに導入。海外法人にも広がりをみせ、英国本拠の世界的流通企業「TESCO」や駅ナカ・空港・高速道路SA立地を得意とする欧州大手複合書店「WH Smith」、ファミリーマートの台湾法人「全家便利商店(FamilyMart)」といった幅広い小売店でドーナツのセルフ販売を行うキャビネットがみられるようになった。

 筆者が所属する都市商業研究所では、2016年の大量閉店当初より日本でのキャビネットの展開の可能性を指摘していたが、日本法人でもコロナ禍に先駆けて、2019年より(当時)東北新社系高級スーパー「ナショナル麻布」との協業を皮切りにキャビネットの展開を開始。首都圏では「明治屋」「紀ノ国屋」「イオンスタイル」「マルエツ」、関西圏では「KOHYO」「ピーコックストア」「平和堂」といった都市部の高級スーパーや大型総合スーパーを中心に販路拡大を図っている。

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