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大量閉店から奇跡の復活 クリスピークリームが「ドーナツ戦争」から勝ち抜けたワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月25日 7時15分

 これにより、直営店と比べ商品数は限られるものの、期間限定商品を含めたバリエーション豊かなドーナツが気軽に購入できるようになった。加えて、キャビネットの導入が厳しい店舗においても2017年よりBOXタイプのセット商品を販売しており、セントラルキッチンから毎朝直送されるドーナツが300ほどの店舗に並んでいるという。

 また、価格政策においても、飲食業界共通の課題といえる原材料費高騰などを背景に値上げとなったもの、オリジナル・グレーズド12個セットに関しては1728円と日本上陸当初の単品販売価格150円と変わらない水準を維持している。高単価のドーナツを選択可能な12個セットに関しても2700円であり、ボリュームディスカウントを考慮した場合、セール廃止に踏み切った競合との価格差は意外ではあるがほとんどない(セット価格はともにテイクアウトの場合)。

 日本法人による実店舗ならではの強みを生かしたコンセプトショップの訴求と積極的な独自商品の開発、卸売による販路拡大とセット価格による価格軽減により、手に取りやすくも特別な存在として定着することとなった。

●全面撤退エリアでの復活の可能性は?

 大都市圏を中心に定着したクリスピークリームであるが、中国・九州地方や静岡県といった全面撤退エリアに復活する可能性はあるのか――。

 クリスピークリームは、従来の百貨店・モールでの催事販売に加え、2021年11月には日本上陸15周年記念の一環として、移動販売車でのオリジナル・グレーズド販売「WOW! キャラバン」を静岡・岡山倉敷・福岡天神で実施したが、現時点では常設店舗の復活に至っていない。

 2024年に入って三大都市圏から離れた山口県(大丸下関店)での催事も新たに始まったが、配送や賞味期限との兼合いもあり、これ以上の催事エリア拡大は厳しそうだ。

 米国法人は2024年3月に「マクドナルド」との業務提携を発表し、2026年までに全米1万3000店舗のマクドナルドに主力3商品を展開予定としているが、物流面で同様の懸念がある。

 日本法人は2020年12月にロッテHDから米国法人の子会社として再出発したが、既出の通り、コンセプトショップを含む店舗展開や日本人の嗜好にあった商品開発はいずれも日本法人主導による独自の取り組みだ。かつてのブームによる急拡大とは異なり、堅実に店舗網の拡大を図る現体制において厳しいかもしれないが、地方都市で「HOT OG」の看板が灯る日は意外と遠くないかもしれない。

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