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「もっと働け」と強いる“女性活躍推進”のむなしさ 男女の格差なぜなくならない?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月26日 8時15分

 夫婦の合計工数は250となり、夫の収入だけで生活できる専業主婦世帯の総工数200よりも増えています。妻の家計補助が生活に欠かせなくなったことで、その分の工数が上乗せされました。その上乗せ負担のほとんどが、妻だけにかかっているということです。

 もちろん、家庭によっては妻の仕事工数が30の場合や100の場合、夫の家庭工数が10や50という場合などもあるかもしれませんが、状況を整理するために典型モデルで考えると、多くの家庭において総工数が増え、そのほとんどが妻の負担になっているのが現状になります。

「スーパーウーマンになれ」と求めるも同然

 一方、夫は夫で家庭での役割を期待されるようになり、妻の負担を減らそうと徐々に頑張りつつあります。そんな夫が、家庭工数を20受け持った場合の兼業主婦世帯モデルを表したのが以下グラフです。

 まだ妻に負担が偏ってはいますが、夫の負担も合計で120に増しています。この場合、総工数200だったころと比較して妻は負担が30、夫も20増えているということです。では、そのケースで妻の仕事工数を夫と同じ水準に引き上げるとどうなるでしょうか。

 夫婦の合計工数は300となり、妻単独の工数は180となりました。これはあまりに負荷が大きく、現実的な数値とは言えません。中にはそれができる特別な女性も存在するのかもしれませんが、家庭工数が変わらないまま、妻が夫と同じように働くことを推進して男女の賃金格差を是正しようとするのは、世の女性にスーパーウーマンになれと求めることを意味します。

●「仕事専業モデル」を見直すべき理由

 一方、もし合計工数を250に抑えたままで夫婦の仕事工数を同程度にするなら、以下グラフのようなモデルが考えられます。

 家庭工数の合計を100から50に下げるのが1つのパターンです。そのためには両親の近くに引っ越しして家庭運営を手伝ってもらったり、家事代行といったサービスを利用するなどして家庭工数自体を減らさなければなりません。後者の場合、相応の金銭負担が伴うことになるでしょう。

 ただ、家庭工数を減らすことが難しい場合もありますし、負担が妻に偏ったままになっています。それらを考慮したパターンが以下です。

 夫が家庭補佐ではなく、妻が家計補助でもなく、夫婦が対等に仕事にも家庭にも携わり、かつ仕事工数を75程度に抑えた上で、給与はいまの男性と同等の水準にするということになります。このような状態を実現するには、まず家庭内にある性別役割分業を解消し、夫婦ともに主婦・主夫として家庭を切り盛りしながら仕事と両立し、いまよりも少ない仕事工数で給与水準を維持できるように生産性を高めなければなりません。

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