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「マツダの快進撃」はまだまだ続く? 認証不正発覚から襟を正して未来を描けるか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月7日 6時5分

 モータースポーツの世界でも久しぶりにワークス活動を行い、スーパー耐久選手権でCNF(カーボンニュートラル燃料)やバイオディーゼル燃料の開発、次世代スポーツカーの研究などを他メーカーと“共挑”しながら鍛えていく姿勢を見せている。

 先日、トヨタとスバル、マツダの取締役が開いた共同記者会見は、エンジンの未来を感じさせてくれるものだった。マツダに関して言及したのはロータリーエンジンだけだったが、レシプロエンジンについてもさらに開発を加速していくはずである。

 そう思った矢先、衝撃の事実が日本の自動車メーカー各社から飛び出した。なんとダイハツ同様の認証試験での不正をトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキ、ヤマハの5社が行っていたことが発覚したのだ。先の共同記者会見での意気込みに対して完全に冷水を浴びせた格好だ。

 ダイハツの不正が発覚した時点で、国土交通省から各メーカーに同様の不正がなかったか確認が入ったらしい。それで改めて社内で調査を行ったところ、不正が分かったのである。

●これから日本の自動車メーカーに求められるもの

 マツダに関して言えば、不正が行われたのは商品改良モデルのみ。つまり新規導入時にはそのモデルは認証試験をクリアしており、実質的な品質においては問題ないと言えるものだ。

 トヨタもマツダも衝突試験の内容に関しては、むしろ認証試験で定められている条件よりも厳しい条件下で行っている。そうしたことでデータの正確性が問題視されているのであり、エアバッグのタイマー作動も確実にエアバッグを作動させるための対策だった。

 だが「それは言い訳にならない」と言われるだろう。旧態依然とした制度はまず変えていく必要がある。それを置き去りにしたまま、現場でインチキをしたのでは、まったく信用されなくなってしまうのだ。

 社内試験というある意味カンニングし放題の環境が、エンジニアを誘惑したのか。認証試験の内容が厳しすぎる、複雑すぎるという問題もあるのかもしれないが、日本の認証試験の制度自体が性善説すぎることも原因の一つだろう。

 今回の問題の直接の原因は、一言で言えばリソース不足だろう。発売予定までのスケジュールがタイトな中で、工数のどこを削って遅れを取り戻すかという時に、これまでの実績から試験データを流用して認証試験をクリアしようとすることは誰もが考えつきそうだ。

 「ユーザーが乗っているクルマの安全性には問題がないなら実害はない」。そう思うのは、メーカー側のおごりではないだろうか。これまで実直に試験を行ってデータを蓄積してきて、問題が生じなかったから実験や試験の繰り返しを無駄に感じてくるようなまひが関係者に生まれていたのだろうか。

 すぐさま襟を正し、法規にのっとった実験や試験、ものづくりを行っていくべき――と言うのは簡単だが、大きな企業だけにすぐにガラリと変わるのは難しいし、変わっているかの確認も難しいものだ。

 「技術力にあぐらをかいている」と思われないためにも、日本の自動車業界は根本から変わっていかねばならない気がするのは、筆者だけではないだろう。

(高根英幸)

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