千葉のキッザニアっぽい施設「カンドゥー」 存続の危機から一転、過去最高の来場者数に どう立て直した?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月14日 8時10分
●値上げしてもクレームゼロ
オペレーション改善と同時に、収益化と来場者の満足度を両立すべく、入場料の価格変動制を強化した。チケット購入者のデータ、満足度調査、口コミなどを分析したところ、満足度は混雑状況が影響しやすい一方、料金の高さはさほど影響しないこと、満足度は特定の人数を超えると著しく下がることが分かった。
これを根拠に、来場者の不満につながらない価格帯と収容人数を精査し、料金帯を2段階から4段階に変更した。加えて、来場者に配っていた500円分の金券を廃止し、ベース全体の値上げも行った。
その結果、土日祝日に偏りがちだった来場者数の平準化に成功する。子ども料金で比較すると最安値(3250円)と最高値(4500円)との間に1250円の差が生まれたが、それでもこれまでに入場料に対するクレームは発生していないという。
「値上げによって離反してしまう客数を、新規客の増加数で十分吸収できると判断して、値上げに踏み切りました。結果としてこれまでに入場料に対するクレームは1件もいただいていません。昨今の情勢を鑑み、ご理解いただけていると感じています」
これまで全くやっていなかったCRM(顧客関係管理)の体制づくりにも取り組んだ。一度カンドゥーを訪れた利用客の属性分析と、メール配信などでアプローチできる環境を整えていき、アプローチできる母集団は約7000人に達した。事前に情報収集しておきたい親が多く、メルマガの開封率は70%を超えているという。
顧客属性を分析できる環境を整えたことで、プロモーション面の課題も新たに見えるようになった。
「チケット購入者のほとんどが千葉エリアにお住まいなのに対して、Webサイトの閲覧者は東京が圧倒的に多かったのです。Webサイトまでたどり着けている人が東京に多くいるので、やっぱり(需要を)取り切れていなかったんだなと」
●ポケモンから“ラブコール”
こうした改善をしていった結果、2024年1月にコロナ禍以降初めて単月黒字を達成。それ以降、4月まで一度も単月赤字になっていない。2月については開業以来過去最高の入場者数を記録した。
スポンサーも新たにつき始めている。その中でもビッグネームは株式会社ポケモンだ。業績が前を向きだした昨年末に“ラブコール”をもらい、カンドゥー内にポケモンセンターが誕生した。
ポケモンは長寿コンテンツであるだけにファンも一緒に年を取っていく。従って同社は子どものころからポケモンと触れる機会を増やそうとしており、そのためのカンドゥー出店というわけだ。
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