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「日高屋化」する幸楽苑 ラーメン店から町中華へのシフトで復活できるか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月26日 15時36分

「日高屋化」する幸楽苑 ラーメン店から町中華へのシフトで復活できるか

業績が急回復しているラーメンチェーン「幸楽苑」

 ラーメンチェーン「幸楽苑」の業績が急回復している。2024年3月期の幸楽苑ホールディングス(HD)の決算(連結)は、売上高が268億円(前年同期比5.2%増)、営業利益は3300万円(前期は16億8700万円の赤字)、経常損失は1億600万円(前期は15億2800円の赤字)。親会社株主に帰属する当期純利益は9400万円(前期は28億5800万円の赤字)と、わずかながら経常損失になったものの、最終利益を確保して黒字に転換した。

 同社は2023年6月23日、巨額の赤字を計上した責任を取って、新井田昇前社長が退任。新井田氏の父で、創業者の新井田傳氏が5年ぶりに社長に復帰(会長を兼任)した。傳氏は不採算店の整理などスリム化を行う一方、売りになる新メニューを開発。わずか1年という短期間で、傾いた幸楽苑の業績を立て直した。一代で日本有数のラーメンチェーンを構築した傳氏の経営手腕が光る。

 最近、幸楽苑の店舗に行くと、昼も夜も結構混んでいる。1年前はいつ行っても空いていた印象があり、目立って顧客が増えている。コロナ禍が終わってきたプラス効果もあるが、郊外のラーメン店は、コロナ禍の真っ最中でも、ギフトHDが経営する「町田商店」、丸千代山岡家「山岡家」のように好調なチェーンが多かった。

 郊外ロードサイドの店は、非接触性が確保できる車に乗って行けるし、ラーメンならば1人で黙食が自然にできるからだ。そんな中、幸楽苑はコロナ禍でも有利だったはずの郊外型で、一人負けのごとく売り上げを落としていた。

●「ディナー定食」が起爆剤に

 傳氏が社長に復帰してから幸楽苑に起きた変化のうち、最も大きいのは、午後3時以降のディナータイムに定食を設定したことだ。野菜炒め・レバニラ炒め・麻婆豆腐・豚角煮といったメインにご飯とスープが付いた定食により、特に夜の集客が増えている。

 5月23日の決算説明会資料によれば、ディナーメニュー販売前に「6対4」だった昼と夜の売上比率が、現在は拮抗するようになったという。なお、昼の顧客が減っているのではなく、夜のディナーメニューに支持が集まり、全体の底上げにつながっているようだ。

 幸楽苑のメニューは以前、ラーメンをメインに餃子とチャーハンの3品を軸に構成されていた。直近は上述したような定食が増えたことにより、幸楽苑は従来の一般的な「ラーメン店」から「町中華」としての色が強くなっており、結果的に「日高屋」に近似してきた。

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