非正規の「春闘」、賃上げを勝ち取る意外な戦い方とは? 企業が取り組むべき点も解説
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月22日 7時40分
経団連の春闘指針である「経営労働政策特別委員会報告」でも大企業に対し「適正な価格転嫁の申し出をスムーズに受け入れられるように経営層から取引担当者まで徹底を」と呼びかけている。
ではその効果はどうか。日本商工会議所の「商工会議所LOBO(早期景気観測)」(4月30日)によると、発注側企業との「価格協議の動向」について、「協議を申し込み、話し合いに応じてもらえた」企業は66.0%。「コスト上昇分の反映の協議を申し込まれた」7.7%で、「協議ができている」企業は計73.7%だった。
コスト増加分の中で政府が注力している労務費増加分の価格転嫁については、0割が25.6%、1~3割程度が35.6%。「4割以上の転嫁」ができた企業は33.9%(前回調査比0.8ポイント減)にとどまる。
業種別では、建設業は「4割以上の転嫁」ができた企業は49.6%と5割に近いが、小売業、サービス業は3割を切っている。
一方、中小企業の中には「今までは原材料、エネルギー価格などのコスト増加分に対する価格転嫁の交渉を行ってきたが、今年は労務費の価格転嫁に向けた交渉を行う予定」(名古屋ボルト・ナット等製造業)といった前向きな声も挙がっている。
もし取引先が労務費の価格転嫁に応じない場合は、公正取引委員会に直接、相談・申告・情報提供することをおすすめしたい。
あるいは経済産業省の「下請けGメン」制度もあり、2023年にはGメンが300人に増員されている。各地の経済産業局に電話し、下請けGメンの訪問調査を希望すれば、来てもらえる。こうした仕組みを活用し、人材確保に向けた賃上げを実現してほしい。
(溝上憲文、ジャーナリスト)
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